RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することで、定型業務の自動化を実現できます。
ただし、RPAには3つの種類があり、いずれの種類を導入するかで利用料金が大きく異なるため、自社の要件を満たした種類のRPAを導入が重要です。
当記事では、RPA導入時にかかる料金、RPAの種類別料金相場、導入費用を削減できる補助金制度について解説をします。
RPA導入時にかかる料金とは?費用対効果を算出してみよう
RPA導入時や運用にかかる料金算出をしたうえで、導入効果を算出し費用対効果を見合うか事前に検証をしておきましょう。
実際の費用対効果とはズレが出る可能性があるものの、導入前に利用料金と業務運用を検討することが重要です。
順を追って詳細をみていきましょう。
初期導入や業務運用コストの例
導入運用コストとして例えば、以下の項目があります。
- RPAツールの年間ライセンス料金
- RPA環境構築費用
- 保守・運用料金(年間)
- RPA開発・教育にかかる人件費(年間)
- サポート利用料金(年間) など
上記項目に対して、実績値、または推定値を当てはめることで、RPAツールの導入運用コストを算出しましょう。
導入効果の例
仮にRPAツール導入による効果を人件費削減とする場合、以下項目について検討ください。
- 業務1件の処理にかかる時間
- 1年で処理できた件数
- 担当者の時給
おおよそのⓐ人件費削減効果ⓑRPAツールの導入・運用料金が推定できることで、費用対効果をⓐ-ⓑとして算出することが可能です。
ただし、上記前提や方法は各企業が利用するRPAツールや利用するRPAの提供タイプなどにより大きく異なりますので、費用対効果の推定値を算出する際には、自社に適した前提を置いて計算ください。
費用対効果算出の例
仮に以下のように前提を置くと、費用対効果は年間2,183,333円となり、RPAツールは費用対効果に見合うと判断することができます。
- RPAツールの年間ライセンス料金: 500,000円
- RPA環境構築費用: 200,000円
- 保守・運用料金(年間): 100,000円
- RPA開発・教育にかかる人件費(年間): 300,000円
- サポート利用料金(年間): 50,000円
- 1件の処理にかかる時間: 5分
- 1年で処理できた件数: 20,000件
- 担当者の時給: 2,000円
上記前提で計算すると以下のようになります。
- RPA導入・運用コスト(年間)
= ライセンス料金 + 環境構築費用 + 保守・運用料金 + 開発・教育人件費 + サポート利用料金
= 500,000 + 200,000 + 100,000 + 300,000 + 50,000
= 1,150,000円 - 削減された人件費
= 処理時間 × 処理件数 × 時給
= (5/60) × 20,000 × 2,000
= 3,333,333円
結果、費用対効果を推定すると以下の通りです。
- RPAツールの導入による年間の費用対効果は削減された人件費 – RPA導入・運用コスト
= 3,333,333 – 1,150,000
= 2,183,333円
上記の検討過程を通じて、RPAを実際に導入した場合の運用まで検討できますので、導入イメージをつかむことができます。導入前にぜひ費用対効果を検証してみましょう。
RPAの月額料金相場は?
RPAツールの利用料金を推定する際、どのRPAツールの種類を導入するかによって費用対効果が大きく異なります。
以下3つのRPAツール別に月額料金相場を比較していきましょう。
- デスクトップ型
- サーバー型
- クラウド型
デスクトップ型:月額料金相場~5万円程度
デスクトップ型は買い切り型、サブスク型いずれもありますが、サブスク型の場合、月額で~5万円となる場合が多いようです。
初期費用は~50万円と、ほか種類のRPAツールと比較して、初期費用、月額料金いずれも安価であることから、始めやすい種類RPAといえるでしょう。
ソフトウェアを直接パソコン上にインストールすることで始められますので、組織単位だけでなく個人単位で利用開始できる点もおすすめなポイントです。
サーバー型:月額料金相場30万円~120万円程度
サーバー型は買い切り型、サブスク型いずれの料金体系もあります。
サブスク型の場合、オプション有無や利用ユーザー数によっても変わりますが、月額料金は30万円~120万円程度である場合が多いようです。
サーバー型の場合、利用者側でサーバーやインターネット環境の準備などが必要であるため、初期費用として10万円以上、場合によっては数千万円以上する場合もあります。
他種類のRPAと比較して料金面で高額であるものの、サーバー上に構築したRPA環境で同時に数百のロボット稼働が可能、個社要件を満たしたセキュリティ対応が可能など、カスタマイズ性にも優れる点が魅力です。
クラウド型:月額料金相場10万円~程度
クラウド型は大半がサブスク型の料金体系です。利用ユーザー数など全手にもよりますが、月額10万円~であると考えてください。
クラウド型の場合、自前でサーバーなどの準備が不要であることもあり、初期費用は30万円~50万円ていどになる場合が多いようです。
インターネット環境とデバイスがあれば利用開始できるため、デスクトップ型と同様に始めやすく、かつ、RPA提供事業者側でシステムの自動アップデートを実施できるためメンテナンスも容易である点が魅力的でしょう。
クラウドサーバー上で稼働することもあり、特にWebブラウザ上の操作を自動化する際におすすめのRPAです。
種類以外に月額料金に影響を与える要素
ここまでRPAツールの種類による料金比較をしましたが、他にも比較軸はあります。例えば以下観点から料金比較をするとRPAツール選びがスムーズに進むため検討がおすすめです。
- 利用可能機能(汎用型 vs 業務特化型)
- 認識方法(オブジェクト認識 vs 画像認識 vs座標認識)
- サポート(サポートデスク有無、支援サービス有無など)など
特に利用可能機能による比較は重要です。特定業務に絞った機能のみを提供する業務特化型であれば、その分だけ安価な料金体系になります。
一方、多様な要件がある場合は汎用型になるため、その分だけ料金はあがるでしょう。上記以外にも比較軸は十分に考えられますので、自社要件に照らし合わせて利用料金検討をおすすめします。
導入費用を軽減できる補助金制度は?
RPAによる業務効率化効果は大きいものの、月額料金などによる費用面での負担は無視できません。
RPAツール導入時には国や自治体が提供する各種補助金制度を活用して負担を軽減しましょう。主な補助金の概要は以下の通りです。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
※各種補助金の募集事項、公募期間は時期によって変わりますので、最新状況については各自治体などが提供する情報を参照ください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者を対象とする補助金です。
中小企業や小規模事業者が制度変更(例えば、働き方改革やインボイス制度など)に対応するため、生産プロセスなどを改善するための設備投資を支援することを目的にしています。
例えば2023/10にインボイス制度が施行され、バックオフィス業務の負荷が大きくあがりました。この負荷軽減のために、ITツール導入への補助金が出るケースなどが該当するでしょう。
第15次モノづくり補助金の補助金額および補助率は以下の通りです。
- 下限:100万円
- 上限:400万円
- 補助率:1/2または2/3
申請枠は以下5つのカテゴリーが設けられています。
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者等の労働生産性向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツールの導入を支援する補助金です。
対象となるITツールは補助金HPに公開されているため、IT導入補助金を利用する場合には事前に対象関連製品を確認しておきましょう。また、IT導入補助金2023には以下3つのカテゴリーが設けられています。
- 通常枠
- セキュリティ対策推進枠
- デジタル化基盤導入枠
上記の各枠組みも詳細にみればさらに細分化されており、ITツールによって細かく申請枠が分けられている点が特徴的です。
申請するITツールによって補助額は変わりますが、例えばデジタル化基盤導入類型の中でもソフトウェア購入費に対しては、補助率2/3以内、50万円~350万円の補助金が支給されます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、5名以下~20名以下の小規模事業者が持続的な経営を図るために国や自治体により実施される支援策です。
各事業者が作成した経営計画に基づき、販路開拓や商品改良、開発などに取り組む際に補助金による支援を行います。
2023年第8版では以下5つのカテゴリーが設けられ、通常枠の上限が50万円、ほか4枠の上限が200万円の設定です。
- 通常枠
- 賃金引上げ枠
- 卒業枠
- 後継者支援枠
- 創業枠
上限額が他補助金と比較して低額に設定されるものの、クラウド型やデスクトップ型RPAの料金体系であれば、十分に活用可能な補助金であるといえるでしょう。
まとめ 月額費用を比較してツール選びを進めよう
利用予定のRPAツールにより、月額料金は大きく異なります。デスクトップ型、サーバー型、クラウド型など、提供形態により大きく月額料金は異なりますので、まずは導入するRPAツールの種類選びから始めるとよいでしょう。
また、同じ提供タイプだとしても、汎用型、特定業務特化型のいずれにするのか、認識方法は画像認識にするのかなど、さらに絞っていくようにRPAツールを選定していく方法がおすすめです。
国や自治体が提供している補助金も活用しつつ、月額料金などによるコスト負担を最大限軽減し、RPAツールを活用していきましょう。