RPA (Robotic Process Automation) を利用することで、日々の業務で繰り返し実施する定型業務をロボットにより自動化できます。
また、大規模なシステムを導入するにはROIが見合わない業務に対しても、RPAであれば対応し効果を十分に出せる点が特徴的です。
RPAツールの選定に迷う場合には、まず業界シェア上位の会社を見てみるとよいでしょう。
当記事では、RPAのシェアランキング上位5社RPやAツールの選定基準、今後のRPA市場動向について解説します。
RPAのシェアランキングに入ってくる会社
調査・分析・コンサルティング会社 MM総研が公開した「RPA国内利用動向調査2020」によれば、2020年時点での業界シェア上位5社は以下の通りです。
- 1位:UiPath/UiPath株式会社
- 2位:Bizrobo!/RPAテクノロジーズ株式会社
- 3位:WinActor/株式会社NTTデータ
- 4位:BluePrism/Blue Prism 株式会社
- 5位:PegaRPA/ぺガジャパン株式会社
1位:UiPath/UiPath株式会社
UiPath株式会社が提供するUiPathはRPAツール業界で世界No.1シェアをもつRPAツールです。
ITRの「ITR Market View:RPA/OCR/BPM市場2022」では、2021年度(2021年4月~2022年3月)の国内RPA市場でもUiPathが最大シェアとなっています。
UiPathは以下3つの領域を定義し、製品を提供している点が特徴的です。特に自動化の分野では、AIやNLPと連携できるため、高度な自動化を実現できる点が評価されています。
- 発見業務
製品例:Process Mining システムのログ分析を行い、プロセスを可視化する。 - 自動化業務
製品例:studio RPAを利用した自動化を設計するためのキャンパスツール
robots 自動化を実施するロボットツール - 運用業務
製品例:orchestra 作成・運用しているロボットの監視・管理を行うツール
2位:Bizrobo!/RPAテクノロジーズ株式会社
Bizrobo!はRPAテクノロジーズ株式会社が提供するRPAツールです。
「低コストで無制限に利用できる」点を訴求しており、以下3点を提供価値に据えています。
- 開発環境と実行環境をオールインワンで提供。価格体系もオールインワンに。
- 業務のスモールスタートが可能。高度な機能はそのまま低価格のスモールスタート製品を用意。
- 1ライセンスで無制限にロボットが作成可能。大規模業務運用するほどコストメリットがある料金体系。
上記の提供価値を元に以下の製品群を提供しています。
- RPAツール:
「Bizrobo! Basic」「Bizrobo! Lite」「Bizrobo! Mini」 - OCRツール:
「Bizrobo! OCR with AI inside」 - ペーパーレスツール:
「Bizrobo! Paper-free」
3位:WinActor/株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータが提供するWinActorはNTTグループで研究・利用を続け、技術とノウハウが詰まった、業務効率を支援するRPAツールです。
以下特徴が顧客から評価されており国内市場での業界シェアを高めています。
- Windows端末から操作可能なあらゆるソフトに対応
- 完全日本語対応・言語を順次拡大
- 技術者による充実したサポート
- PC1台から動作
- 即日の業務利用OK
- 頻繁な機能拡張
30日間の無料ライセンスを提供していますので、「WinActorで何ができるのか」を確認しやすい点も評価されているポイントです。
4位:BluePrism/Blue Prism 株式会社
Blue Prism 株式会社が提供するBluePrismは「インテリジェントオートメーションを活用した、エンタープライズ規模のRPAとBPMソフトウェア製品により、完全なコントロールとガバナンスを提供する」ことを提供価値としています。
この提供価値から以下3つの領域で製品を提供している点が特徴的です。
- 計画業務
Process Intelligence、Decisionなど - 設計業務
capture - 導入業務
Blue Prism Cloud、Interact、Acceleratorsなど
インターネット上の口コミではセキュリティの高さや稼働の安定性についてのものが目立つため、同特徴を求める企業におすすめの製品です。
5位:PegaRPA/ぺガジャパン株式会社
ぺガジャパン株式会社が提供するPegaRPAは「タスク処理にとどまらないスケーラビリティを実現させるRPAソフトウェア」を標榜するRPAツールです。
同会社は以下3つを提供価値として製品開発をしています。
- 反復業務の自動化
- システム間のギャップを埋める
- デジタル変革
上記の提供価値を元に以下の機能を提供している点が特徴的です。
- Pega Platform:ローコード開発が可能、AI連携による高度な自動化が可能
- Pega Customer Service:B2Cに特化したAI連携のRPA
- Pega Robotic Process Automation:有人・無人のRPAツール など
RPAツール/会社を選ぶポイントとは
各会社が提供するRPAツールを選択する際には複数の評価ポイントがあります。
その際にぜひ評価軸に加えていただきたいポイントを紹介します。ポイントは以下の通りです。
- オンプレ/クラウド 提供形態で選ぶ
- 運用・開発支援サービスの有無・品質で選ぶ
- 無料トライアルの有無で選ぶ
業界シェア上位の会社が提供するRPAツールに対して、よく評価されるポイントは以下の通りです。
製品名 | 料金体系 | 提供タイプ | 支援サービス |
---|---|---|---|
UiPath | ・Free:無料 ・Pro:420ドル〜/月 ・Enterprise:要問い合わせ | デスクトップ型/サーバ型/クラウド型 | 3つのサポートプログラムを提供。パートナー会社契約有 |
Bizrobo! | ・Bizrobo! Bascの場合:720万円/年 ・Bizrobo! OCR with AI insideの場合 typeS:3万円/月(初期費用なし) typeM:10万円/月(初期費用20万円) typeL:20万円/月(初期費用20万円) | デスクトップ型/サーバ型/クラウド型 | ベンダー独自プログラムについては要問合せ。パートナー会社契約有 |
WinActor | ・トライアルライセンス(30日間):無料 ・フル機能版ライセンス:998,800円/年 ・実行版ライセンス:272,800円/年 ・有償トライアルサービス(60日間):209,000円 | デスクトップ型 ※WinActorのサーバ型として「WinDirector」も提供 | ベンダー独自プログラムについては要問合せ。パートナー会社契約有 |
BluePrism | 要問い合わせ | デスクトップ型/サーバ型/クラウド型 | ベンダー独自プログラムについては要問合せ。パートナー会社契約有 |
PegaRPA | 要問い合わせ | 要問合せ | ベンダー独自プログラムについては要問合せ。パートナー会社契約有 |
オンプレミス(サーバー)/クラウド/デスクトップ 提供形態で選ぶ
以下3つの提供形態により機能実装可能な範囲やコスト感など、異なる点がありますので製品選定時には確認が必要です。
- オンプレミス(サーバー)
- クラウド
- デスクトップ
オンプレミス(サーバー)は自社でサーバーを導入・運用するタイプのRPAツールです。
コスト面で比較的効果である一方、自社企業ですでに稼働しているシステムとの連携がしやすいなど、カスタマイズ性・拡張性に富む点が特徴といえます。
クラウド型はブラウザ上で操作するタイプのRPAツールです。
サーバーを導入・運用する必要がないので、コストが低額、かつ、技術的はハードルが低い点がメリットです。
ただし、デスクトップ型やオンプレミス(サーバー)型と比較すると、実現可能な業務効率化の範囲が限定される点に懸念があります。
デスクトップ型は自社企業のPCにツールをインストールすることで導入するRPAツールです。
PCさえあれば利用開始できることから、スモールスタートしたい企業におすすめのタイプといえます。
運用・開発支援サービスの有無・品質で選ぶ
RPAツールを提供するベンダー会社の中には導入や開発業務を支援するサービスを提供している場合があります。
各会社が提供する導入支援サービスを利用することで、RPAツール活用を軌道に乗せることができるため、おすすめであると言えるでしょう。
また、エラーや不具合時の問い合わせ先についても確認が必要です。
サポート窓口の開設、サポート窓口への問い合わせ体系(有限、無限)、ナレッジベースの解放などを各会社に確認しておくことをおすすめします。
無料トライアルの有無で選ぶ
RPAツールの導入が自社企業に合うかどうかは、実際に利用してみないと判断がつかない場合が多いです。
そのため、無料トライアルとして利用できるか、無料期間中に活用を希望する機能が利用できるかが確認ポイントになります。
まずは無料トライアルを利用してみて、自社企業における導入後の「こんなはずじゃなかった・・」を解消できるようにしてください。
市場はこれからも伸びる?
少し古いデータですが、調査・分析・コンサルティング会社 MM総研が公開した「RPA国内利用動向調査2020」によれば、2019/11時点で国内市場におけるRPA導入率は38%程度となっています。
また、同MM総研による「RPA国内利用動向調査2022」によれば、RPA導入率は年商50億円以上で45%、50億円以下で12%という結果になっています。
このデータからもわかる通り、エンタープライズを中心に着実にRPA市場は拡大しています。
特に2023/10施行のインボイス制度、2024/1施行の改正電子帳簿保存法などによりバックオフィス業務の負荷が社会的に増えるでしょう。
一層の効率化需要が出てくることが予想されることから、RPA市場はさらにDXの1つの選択肢として拡大していくと予想されているのです。
まとめ システムを導入して業務効率化を目指そう
大規模なシステムを導入するには事業上、ROIが見出しにくい少量多業務に対して、RPAツール活用が効果的です。とはいえ、どのRPAツールを導入してよいか判断に迷う場合も多いでしょう。
判断に迷う場合には、業界シェア上位の企業から自社の要件に適合するか確認していくと効率的です。ぜひ当記事の内容も参考にRPAツール選びを実施してください。