病院 (医療現場) にもRPAを導入すべき?メリットや注意点、事例なども解説

【病院・医療機関向け】RPAの導入メリットや注意点とは?事例も紹介!

RPAを利用することで定型業務を自動化し、業務効率を飛躍的に上昇できます。人材不足に課題を抱える病院などの医療機関についても同様に大きな効果を期待できるでしょう。

一方で、病院などの医療機関固有の課題として個人情報の秘匿性の高さなどがあるため、固有事情に配慮したRPA導入が重要です。

当記事では、病院などの医療機関にRPAを導入するメリット、導入時の注意点、具体的な導入事例をご紹介します。

目次

病院 (医療現場) にもRPAを導入すべき?

医者がRPA導入すべきか考えている様子

病院などの医療機関にこそ、RPAを導入し業務効率化を実現しましょう。

現状、病院などの医療機関では慢性的な人手不足、人手不足からくる長時間労働など、深刻な問題を抱えているケースが多くなっています。

また、秘匿性の高い個人情報を抱え、個人情報を保護するための高度なコンプライアンスを求められることから、業務に正確性が求められる点も担当者の負荷を増加させる一因となっているようです。

このような課題に対してRPAであれば、解決できる場合があります。一度RPA導入による病院経営の課題解消を検討してみませんか?

医療機関の抱える問題

医療機関の抱える問題

病院などの医療機関では人材にまつわる多様な問題が生じており、生産性向上が求められています。その中でも特に問題視されているのは以下の通りです。

問題①:長時間労働

病院などの医療機関では長時間労働が問題となっています。厚生労働省の労働統計要覧によると、医療機関の実労働時間は他業界に比べて長い傾向にあります​​。

参照:厚生労働省 労働統計要覧(https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_d.html)

また、毎月勤労統計調査によれば、医療・福祉業界の月間実労働時間は全産業平均を上回っています​​。このような長時間労働は、医療従事者の健康や医療の質に悪影響を及ぼす可能性があります。

参照:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和5年分結果速報(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/23cp/23cp.html)

問題②:人手不足

病院などの医療機関では人手不足も深刻な問題となっています。日本医労連によると、医療・介護現場では人員体制の強化や夜勤・長時間労働の解消が必要とされていますが、人手不足によってこれらの取り組みが困難になっています​​。

参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 (https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20220803c.html)

また、人手不足は医療従事者の負担増加につながり、結果として長時間労働の問題をさらに悪化させることになります。

これらの問題に対処するためには、医療従事者の労働環境の改善や人材育成・確保のための施策が求められます。RPAなどのテクノロジーを活用して、医療現場の業務効率化を図ることも一つの解決策となるでしょう。

病院にRPAを導入するメリット

医療機関へのRPA導入のメリット

病院こそRPAを導入するべきです。病院こそRPAを導入すべき4つのメリットを以下の通りご紹介します。

  • 病院のRPA採用メリット①:患者データの管理と処理の自動化
  • 病院のRPA採用メリット②:診療報酬請求の自動化
  • 病院のRPA採用メリット③:医薬品管理の自動化
  • 病院のRPA採用メリット④:コンプライアンスと監査のサポート

病院のRPA採用メリット①:患者データの管理と処理の自動化

医療機関では患者の記録や臨床データの管理が重要な役割を果たします。

RPAを導入することで、これらデータの入力、更新、検索などの事務業務を自動化できるでしょう。データの正確性が向上し、医療従事者は患者ケアにより多くの時間を割くことができます。

実際の導入事例として、例えば以下のような事例が多いようです。

  • 患者の検査結果を電子カルテに自動入力
  • 患者情報のバックアップを定期的に自動採取
  • 保険請求書のデータ自動入力 など

これらの事務業務を自動化することで、データの正確性が保たれ、医療従事者は患者のケアに集中できる時間が増えるとともに、医療サービスの全体的な効率と質の向上が期待できるでしょう。

病院のRPA採用メリット②:診療報酬請求の自動化

診療報酬の請求業務は複雑で時間がかかる作業です。RPAを利用することで、請求書の作成、送信、追跡などの事務業務を自動化できます。

これにより、請求プロセスのスピードと正確性が向上し、収益サイクルの管理が効率化されるでしょう。

特に診療報酬請求プロセスは、細かなデータの管理と精密なチェックが要求されるため、RPAの正確さと効率性が大きなメリットをもたらしているのです。

導入に当たっては、業務プロセスの明確化や導入後の運用管理、RPA担当者の教育など、慎重な計画が求められますが、その効果は業務改善と医療の質の向上に大きく寄与することが期待されるでしょう。​

病院のRPA採用メリット③:医薬品管理の自動化

医薬品の管理は医療機関で非常に重要な事務業務の一つであり、医薬品の適切な在庫管理は患者の安全確保や医療サービスの品質に直接関わっています。

RPAを利用することで、このような医薬品管理の自動化が可能となり、例えば以下のような自動化が可能です。

  • リアルタイムでの在庫の監視や更新
  • 医薬品の発注業務自動化
  • 医薬品の使用期限を監視し、期限切れが近づいた商品については事前に警告 など

これらの自動化によって、医療従事者は在庫管理にかける時間を削減し、より患者のケアに集中できるようになることが期待できるでしょう。

病院のRPA採用メリット④:病院のメリット④:コンプライアンスと監査のサポート

医療機関におけるRPAの導入はコンプライアンスと監査の支援にも大きな役割を果たしています。

RPAは、コンプライアンス関連のドキュメント作成、監査準備、規制報告などのプロセスを自動化することで、法令遵守に関するリスクを減少させ、監査の効率化を実現することができるでしょう。

実際に、医療機関では、内部監査部門がRPA導入に伴う業務プロセスのリスク変化を監査する必要があります。RPAの導入は、事務業務の自動化と効率化を促進するものの、同時に新たなリスクも発生するためです。

これらのリスクは、業務プロセスにおけるリスク評価の必要性、導入当初の設計要件や例外対応の不足による深刻なエラーの発生、関係部門による十分な検証や受入テストの実施、コンティンジェンシープランの策定などの監査手続きの見直しを求めることになるでしょう。

病院にRPAを導入する際の注意点

注意点

病院などの医療機関こそ、RPAによる自動化効果は大きいです。一方で注意すべきポイントが以下の通りありますので事前に把握しておきましょう。

  • 注意点①:プライバシーとセキュリティ
  • 注意点②:医療業務の複雑性
  • 注意点③:システムとの統合

注意点①:プライバシーとセキュリティ

医療情報は個人のプライバシーに関わる重要なデータです。RPAを導入する際には、患者の個人情報の保護やデータのセキュリティを確保するための対策を講じる必要があります。

HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)などの規制に準拠していることを確認し、データの暗号化やアクセス制御などのセキュリティ対策を強化することが重要です。

注意点②:医療業務の複雑性

医療機関の業務は非常に複雑であり、多くの場合、専門的な知識や判断が必要となります。

RPAを導入する際には、業務の特性を正確に理解し、適切なプロセスを自動化することが重要です。臨床判断や患者とのコミュニケーションなど、人間の介入が必要な業務は自動化の対象から除外する必要があるでしょう。

注意点③:システムとの統合

医療機関では、電子カルテシステムや診療支援システムなど、さまざまなITシステムが使用されています。RPAを導入する際には、これらの既存システムとの互換性や統合性を確保することが重要です。

システム間の連携をスムーズに行うために、API(Application Programming Interface)の活用やカスタムインターフェースの開発が必要になる場合があるでしょう。

活用事例

活用事例

病院へのRPA活用事例は豊富にあります。代表的な事例は以下の通りです。

  • 事例①:名古屋大学医学部附属病院
  • 事例②:東京歯科大学市川総合病院
  • 事例③:済生会熊本病院

事例①:名古屋大学医学部附属病院

名古屋大学医学部附属病院では、医師の勤務時間を手作業で計算する事務における時間の浪費とヒューマンエラーが課題でした。

課題に対して、RPAツールを全事務部門で導入し、医師の勤務時間計算を自動化しています。

これにより年間160時間の効率化が実現し、21体のロボットが作成されることで全事務部門での業務削減時間が約9,800時間となっています。

事例②:東京歯科大学市川総合病院

東京歯科大学市川総合病院では、放射線科での「造影剤CT・MRI検査前のeGFRチェック」業務における手作業による時間の浪費が課題でした。課題に対して、RPAのトライアル導入により、この業務を自動化しています。

結果として1時間の作業時間が削減され、放射線技師が本来の業務に専念できるようになりました。現在、同院では9体のロボットが稼働し、様々な業務を自動化した事例です。

事例③:済生会熊本病院

済生会熊本病院では、RPAを導入して医療現場のDXや働き方改革を推進しています。具体的な対応として以下を実施したようです。

  • 外出中の医師に手術予定表をメールで自動送信
  • 予防医療センターでの健診予約の登録作業、職員の体調分析表を所属長にメール自動送信
  • リハビリテーション科の新規台帳作成と診療記録プリセット自動化 など

これにより、職員の作業負担が軽減され、医療サービスの質が向上しています。また、健診予約の登録作業に関しては、1,829名分の入力にかかっていた46時間の業務時間を削減できました。

まとめ 医療機関こそシステムを活用しよう

医療機関にてRPAを利用している様子

慢性的な人手不足が続く病院のような医療機関こそRPA導入により業務効率化を目指すべきでしょう。

一方で、病院のような医療機関では漏洩が許されない個人情報を多数取り扱い、伴ってコンプライアンスの強化が求められています。

この点に対してもRPAを導入することで省力化、かつ、正確化が目指せますのでRPAを導入するのであれば、コンプライアンス強化まで視野にいれて活用をご検討ください。

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