RPA (Robotic Process Automation:業務自動化ツール) は、日常に発生する簡単なルーティンワークなどを自動化し、日々の業務を効率化してくれるツールとして注目を集めています。
しかし、RPA導入・利用にはセキュリティリスクが伴うため、セキュリティ対策が欠かせません。
裏を返すと、セキュリティ対策をしっかりしていれば、あまりリスクを恐れることなくRPAを利用し業務の効率化を図ることができると言えるでしょう。
そこで今回は、RPA導入・運用時に起こりうるセキュリティリスクとそれらへの対策についてわかりやすく解説していきます。
RPAツール導入・利用時に起こりうるセキュリティリスクとその対策とは?
便利かつ多くのメリットを受けることのできるRPAツールですが、導入・利用時には気を付けるべきセキュリティリスクがあります。
では、具体的に気を付けるべきセキュリティリスクにはどんなものがあるのか、またそれらのリスクへの対策などを見ていきましょう。
- セキュリティリスク①:ロボットの誤作動によるデータ流出
- セキュリティリスク②:ロボットの設定ミスによる業務の滞りや停止
- セキュリティリスク③:サイバー攻撃による被害
- セキュリティリスク④:過剰なパスワード付与の不正データアクセス
- セキュリティリスク⑤:内部の不正利用によるデータの流出やロボットの誤作動
では、1つずつ詳しくどのようなリスクなのか見ていきましょう。
セキュリティリスク①:ロボットの誤作動によるデータ流出
セキュリティリスクと聞いて、まず挙げられるのはロボットの誤作動でしょう。
ロボットの誤作動によって、社外に私的なデータ流出が起こってしまう可能性があります。
具体的には、ロボットの誤作動によってメールの送信相手が違っていたり、送信する予定のなかったデータや資料などを同封して送信してしまうなどの情報漏洩につながってしまう可能性が考えられます。
対策①:被害を最小限に抑えるためのマニュアル化
ロボットの誤作動は、RPAツールに限らず全てのロボットやITツールを利用する際に考慮すべきセキュリティリスクです。
そのため、誤作動が起こってしまった際に被害を最小限に抑えることのできるような、誤作動への対策マニュアルを作っておくということがロボットの誤作動に対する有効な対策と言えるでしょう。
セキュリティリスク②:ロボットの設定ミスによる業務の滞りや停止
RPAロボットの設定ミスによるセキュリティリスクにさらされてしまう可能性があるでしょう。
ロボットの設定ミスによるデータ流出やシステムエラー、業務の停止が起こってしまう可能性があります。
RPAは指定された業務内容を指定されたやり方で行うので、ロボットの設定ミスが起こってしまうと、本来は完了しているはずの期限までに業務が終わっていないことや、業務そのものがストップしてしまいそれに付随するすべての業務が停止してしまうといったケースが考えられます。
しかし、こちらのセキュリティリスクはきちんと把握し対策を施すことで回避することが可能となります。
対策②:ロボット作成時に、ベンダーのサポートを受ける
多くのベンダー (販売業者) は、RPAツールの導入サポートというサービスを提供しています。
ロボット作成時に、ベンダーのサポートを受けることでロボットの設定ミスを防ぐことが出来るうえ、簡単にロボットの設定を行うことができるためベンダーのサポートを受けることでロボットの設定ミスというセキュリティリスクを防ぐことができるでしょう。
セキュリティリスク③:サイバー攻撃による被害
サイバー攻撃によって被害を受けるというセキュリティリスクもRPAを導入・運用していく際には考慮すべきでしょう。
このセキュリティリスクは、主にクラウド型RPAを導入・運用する際に考慮すべきで、サーバー型/デスクトップ型RPAでは起こる可能性はありません。
やはりサイバー攻撃によって起こりうる被害は、内部の情報の露呈、流出でしょう。
クラウド型RPAの場合は、利用するデバイスとクラウドを接続しRPAを使用するため、その過程でサイバー攻撃にさらされる可能性があります。
その結果、悪意のあるハッカーなどの影響で社内の重要な極秘情報などがさらされてしまう可能性などが考えられるでしょう。
対策③:RPA管理ロボットの利用
サイバー攻撃への対策として有効なのはRPA管理ロボットの利用であると言えるでしょう。
RPA管理ロボットとは、365日24時間稼働することのできるRPAが不具合なく動いているか、またサーバー攻撃などを受けていないかなどを常に監視してくれるロボットです。
このロボットを用いることで、いち早くサイバー攻撃のサインなどに気づき社内情報の流出を防ぐことができるでしょう。
セキュリティリスク④:過剰なパスワード付与の不正データアクセス
過剰なパスワード付与の不正なデータアクセスもセキュリティリスクの1つとして考えても良いでしょう。
RPAに業務の自動化を促すためには、データへのアクセス権などを与える必要があります。
そのため、多くのRPAロボットを運用する場合、どのロボットにどこまでのアクセス権を与えたのか把握ができず、必要のないロボットまでアクセス権を与えてしまい、不正なデータアクセスでのデータ流出やデータの書き換えなどのセキュリティリスクがあります。
対策④:権限の付与を最小限に
RPAに対する権限の付与を最小限にとどめることで、アクセス権を所有した人物の把握ができず、不正なデータアクセスとその原因がわからないといった状況を防ぐことができるでしょう。
しかし、アクセス権を付与する範囲が狭過ぎると、誰でも簡単に業務効率化をすすめることができるというRPAのメリットを生かすことができないため、導入時点では最小限にとどめておき、必要に応じて権限を付与していくことをおすすめします。
セキュリティリスク⑤:内部の不正利用によるデータの流出やロボットの誤作動
内部の不正利用は、直接的なRPAのセキュリティリスクとは言えませんが、RPAの導入・運用を行うにあたって不正利用は大きなセキュリティリスクと言えるでしょう。
RPAツールは365日24時間稼働することが可能であることによって、内部の人間が会社や組織が休みの日や夜間などにロボットの不正利用を行い、ロボットに誤作動を起こすといったことが可能となっています。
また、部署などを横断して利用している場合、他部署の持ち出し厳禁のデータなどを簡単に閲覧・抜き取りなどをすることができます。
対策⑤:IDやパスワードの削除や暗号化
IDやパスワードの暗号化が、不正ログインなどを防ぎ、内部の不正利用によるデータの流出などを防ぐ有効な対策であると言えます。
退職者や異動が決まった社員などには、RPAのIDやパスワードの削除をお願いするというのが良いと考えられます。
また、ID やパスワードの暗号化は、内部の不正利用を防ぐ非常に有効であると言えるでしょう。
安全なパスワードの作成には、総務省が発表する安全なパスワードの作成方法を参考にすることをおすすめします。
リスクを回避するRPAツールの選び方
導入するRPAツールを選ぶ際にも、セキュリティリスクをきちんと鑑みる必要があるでしょう。
ここからは、リスクを回避するRPAツールの選び方や条件について解説していきます。
サポートの充実度で選ぶ
リスクを回避するために、サポートの充実度を重視することをおすすめします。
上記の通り、RPAツール設定のミスによってセキュリティリスクが上がってしまう可能性があるため、サポート体制が充実なRPAを選ぶことによってプロにわからないことをすぐに相談することができる環境を選ぶことでリスクを回避することができるでしょう。
操作の容易性で選ぶ
操作の容易性という点も、セキュリティリスクの回避には有効なRPAツールの選び方となるでしょう。
操作が複雑なRPAツールであると、設定ミスによるセキュリティリスクやロボットの誤作動などのリスクが増大してしまう可能性があります。
特に、IT技術に明るくない人材でRPAツールを利用する場合は、操作が容易なRPAツールの導入を検討する必要があります。
利用する業務の規模や範囲で選ぶ
利用する業務の規模や範囲で選ぶという選び方も非常に重要となります。
まず、RPAツールを導入してどのような業務に用いたいのか、また管理者や担当者、利用者などをあらかじめ設定し問題が起こった際の責任の所在をはっきりさせ、そしてその決めた業務の規模や範囲などをもとにRPAツール導入を決定することで、過剰なパスワード付与の不正データアクセスや内部の不正利用などを防ぐことができるでしょう。
まとめ
これまでPRAツールの導入・運用におけるセキュリティリスクとそれらに対する対策について解説してきました。
RPAツールの導入・運用には、セキュリティリスクも伴いますが対策をきちんと立てておくことですべて防ぐ、または被害を最小限に抑えることができます。
これらのセキュリティリスクを頭の片隅に入れつつ、RPAの導入を検討していただけたら幸いです。