RPAに向いている業務・向いていない業務10選|自動化の導入事例含めて紹介

RPAで自動化可能な業務とは?向いている業務向いていない業務を5選ずつ解説

RPA (Robotic Process Automation) を利用することで、定型的で繰り返し生じるような作業を自動化できます。

一方で、ルール変更が発生する、意思決定が必要になるような作業には不向きです。

このようにRPAが向いている業務・向いていない業務がありますので、PRAが利用できる範囲の理解が求められています。

当記事では、RPAに向いている業務・向いていない業務を事例含めて紹介させてください。

RPAの市場規模とは?

調査・分析・コンサルティング会社 MM総研が公開した「RPA国内利用動向調査2020」によれば、2019/11時点で国内市場におけるRPA導入率は38%程度となっています。

また、同MM総研による「RPA国内利用動向調査2022」によれば、RPA導入率は年商50億円以上で45%、50億円以下で12%という結果になっています。

このデータからもわかる通り、エンタープライズを中心に着実にRPA市場は拡大しています。

目次

RPA導入によるメリットとは?

RPA導入によるメリットのイメージ

RPAとはRobotic Process Automationの略称で、近年、市場を大きく拡大しています。

では、なぜRPA市場が拡大しているかというと、以下2点のメリットが大きいからと予想されているからです。

  • 導入メリット①:少量多品種作業の効率化
  • 導入メリット②:人的なミスの削減

導入メリット①:少量多品種作業の効率化

自社の各部門・各部署で抱える問題は多数あるけれども、システムを導入して対応するにはROIが見合わない問題があります。

例えば、マーケ部門でのセミナーアンケート収集負荷が高い、経理部門での仕訳伝票集計作業の負荷が高いなどです。

このような少量多品種な業務に対して、RPAを導入すればまとめて自動化・効率化を期待することができるため、ROIが見込みやすいと考えられています。

導入メリット②:人的なミスの削減

定型業務であれば、人が実施するよりも正確、かつ、長時間対応することができます。

例えば、銀行業で生じる定型業の場合、定型作業とはいえ、特にミスが許されないため、正確な作業が可能なRPAは重宝されることでしょう。

また、定型業務の自動化をすることで、人的なミスを減らすと同時に、従業員のモチベーションを向上させることも期待できます。

定型業務を長時間実施するのは社員の心理的な負担になっていることがあるのです。

向いている業務5選

向いている業務5選のイメージ

RPAによる自動化が向いている業務をいくつかピックアップしました。向いている業務は以下の通りです。

  • 向いている業務①:定型業務
  • 向いている業務②:ルールが明確な業務
  • 向いている業務③:大量データ処理
  • 向いている業務④:データ収集・加工
  • 向いている業務⑤:アプリケーションを跨いだ効率化

向いている業務①:定型業務

RPAは例えば以下のような定型作業、かつ、繰り返し実施するような業務に向いています。

  • 請求情報を元にした請求書作成
  • 経費精算で受領した領収書の領収情報登録
  • 伝票処理
  • セミナーで収集したアンケートデータの収集・グラフ化 など

RPAであれば、上記のような作業を自動化することができるだけでなく、人間が実施するより正確に実施できます。

向いている業務②:ルールが明確な業務

ルールが明確な業務のイメージ

RPAを導入する場合、事前にシナリオを設定し、そのシナリオ通りの業務を自動で繰り返します。逆に言えばルールが不明確な業務をRPAによって自動化することができません。

例えば、「基幹システム上に伝票情報を入力し登録する」という業務があった場合、以下の手順が必要です。

  1. 基幹システム上の入力画面を開く
  2. 画面上の特定項目を入力する。完了後、保存ボタンを押す。

上記はとてもシンプルな業務フローですのでRPAで自動化することが可能です。

しかし、内部的に上記の運用がルール化されておらず、作業者によって作業が異なるのであれば、即時でRPA導入による自動化はできないでしょう。

向いている業務③:大量データ処理

単純作業であっても、取り扱いデータ量が大きければ、データの誤り転記や必要情報の入力作業などによって、工数が大きくかかります。

この点、RPAであれば、以下のような大量データ処理をミスなく実施することができるので、業務負荷軽減を期待することができるのです。

  • 大量の顧客リスト集計、および、グラフ化
  • 大量の顧客情報に基づいてセミナーメールを数100~数1000件一斉配信

向いている業務④:データ収集・加工

データ収集・加工のイメージ

マーケ業務などで外部環境分析の一環として、Web上やSNS上の情報を収集する場合があります。このようなデータ収集・加工業務に対して、RPAは向いています。例えば、他にも以下のようなデータ収集に向いているのです。

  • ECサイト上の他社商品情報の収集
  • 為替相場や株価情報の収集
  • 自社に関する口コミやニュースの収集
  • 収集した情報を元に「競合他社の商品情報比較表」などの集計表の作成 など

作成した集計表を関連するメンバーに自動でメール自動送付した事例もあります。このようにRPAを活用することでデータの収集・加工作業を効率化することができるのです。

向いている業務⑤:アプリケーションを跨いだ効率化

Excel上のVBAを利用する場合、自動化できる範囲はMicrosoftOffice製品に限定されます。

一方で、RPAであればExcelなどのMicrosoftOffice製品に限らず、複数のアプリケーションを跨いだ効率化を実現することができるのです。

例えば、以下のような事例があります。

  • 受診したメールのExcel転記
  • Web上で収集した競合他社情報をシステム上に転記
  • 顧客管理システムやWeb上から収集した情報を元に外部環境分析レポートの自動作成 など

通常業務でもメールやExcel、会計システム、顧客管理システム、Webなど多数の情報源、アプリケーションを跨いで業務を遂行しています。

RPAを導入すれば、このような複数のアプリケーションを跨いだ業務効率化を期待することができるのです。

向いていない業務5選

向いていない業務5選のイメージ

向いている業務に対して、RPAを利用することで業務の自動化を期待できます。一方で、向いていない業務もありますので事前に把握しておきましょう。向いていない業務は以下の通りです。

  • 向いていない業務①:意思決定が必要な業務
  • 向いていない業務②:例外対応のある業務
  • 向いていない業務③:画像解析が必要な業務
  • 向いていない業務④:人による確認作業が必要な業務
  • 向いていない業務⑤:複雑なプロセスを含む業務

向いていない業務①:意思決定が必要な業務

業務の一部にでも、その後の対応に意思決定が含まれるような業務に対してはRPAの活用が向いていません。例えば、以下のような業務が該当します。

  • 毎回実施する業務に対して求められる成果物が一定でなく、都度判断が必要になる業務 など

マニュアル化できるような定型作業でないとRPAによる効率化は難しいのです。つまり、上記のような判断が必要な作業に対してRPAは不向きといえるでしょう。

向いていない業務②:例外対応のある業務

例外対応のある業務のイメージ

定型業務とはいえ、一部例外対応がある場合、例外の条件をシステム上に組み込むことで、RPAの活用をすることも可能です。

ただ、例外が多すぎると、その都度、システム改修が必要になるため、あまりにも例外対応のある業務であるとRPAの活用が難しいでしょう。

向いていない業務③:画像解析が必要な業務

RPA単体を利用して、画像解析を実施し、画像上の文字情報をデータ化の上、他システムにデータ連携する等の使われ方をすることが多いです。

ただ、RPA単体では画像上の文字情報をデータ化することは難しい点に注意ください。画像上の文字情報をデータ化する場合にはOCRツールの活用が必要です。

画像情報のデータ化を希望るする場合にはOCRツール連携が可能なRPAツールの選定・導入をするようにしましょう。

向いていない業務④:人による確認作業が必要な業務

人による確認業務が必要な業務のイメージ

RPAによる作業後、確認作業が必要な業務はRPA導入には向いていない場合があります。

例えば、RPAと併用されることの多いOCR処理があるでしょう。OCR処理の中でも、手書き文字などが含まれる電子化データに対するOCR結果の正確性チェックが該当します。

近年OCR技術は進み、識字制度は大きく向上しています。しかし、OCRといえども、人が読んでも読めない字や文字でない文字は読めません。

つまり、OCRにより情報をデータ化し、RPAにより他システムに連携したとしても、目検による確認作業は必要になるのです。

向いていない業務⑤:複雑なプロセスを含む業務

条件分岐が多数存在する業務の場合、RPA導入が向いていない場合があります。

例えば、会計システム上でA伝票が選択された場合にはA処理、B伝票はB処理、B伝票の中でもCフラグが付与されているものはC処理などが該当します。

条件分岐が多数存在してもシステム上は自動化を実現できる場合が多いです。とはいえ、あまりに条件分岐が複雑になりすぎると、何かトラブルが起きた時に原因を追究しにくいなどのメンテナンス上負荷が増えます。

該当業務を小分けにする、業務フロー自体をシンプルにするなどの工夫が必要になるでしょう。

RPAが導入された具体事例

RPAが導入された具体事例のイメージ

RPA活用が向いている業務に対して、RPAを活用し大きな効果を上げた事例をいくつかご紹介します。

紹介事例は以下の通りです。

  • 向いている業務の成功事例①:京葉銀行 OCRを活用し登録・照会業務を自動化
  • 向いている業務の成功事例②:ジヤトコ ボトムアップでのRPA活用

向いている業務の成功事例①:京葉銀行 OCRを活用し登録・照会業務を自動化

千葉県を代表する地方銀行の1つ、京葉銀行では、NTTデータ社のwinactorを導入し活用することで、82もの業務の自動化に成功しています。

京葉銀行でRPAツールを導入した主な部門は、同行でも特に紙の利用が多い住宅ローン取り扱い部門です。この部門では年間数千件以上、住宅ローンの審査依頼を申込Webサイトや郵送、FAXで受け付けています。

申込書の内容を紹介する作業には1件あたり30~60分かかるため、負荷の高い作業となっていた点が課題でした。

この課題に対して、Web上からの申し込みについてはwinactorが自動でシステム上にデータを入力する仕組みを組成することで業務効率化を図っています。

また、NTTデータ社が提供するAI-OCR DX-SUITEを活用することで、紙の申し込み書のデータ化を実現し、紙申込書についても業務効率化を図っている点が特徴的な成功事例です。

参照:https://winactor.com/case/winactoruse/keiyobank

向いている業務の成功事例②:ジヤトコ ボトムアップでのRPA活用

自動車部品を製造するジヤトコでは、製造業特有の課題を持っていました。

モノを生み出す過程で多数の付随する業務・作業があり、付随業務による業務負荷が高い点が課題でした。

この課題に対して、ジヤトコではRPAを活用するための専業部門を組成し、全社に対してRPAにより自動化したい業務の募集、および、自動化のためのロボット開発を実施しています。

また、各部門が自発的な開発「市民開発」が理想像と定めていたため、セキュリティや保守についてのルール整備、RPA開発のテクニカルリーダーを各部門に育成、人事評価の整備を実施しています。

結果、ジヤトコ内でRPA開発が可能な人材は900人を超え、延べ450体以上ロボットを開発し、4年間で延べ20万時間の工数削減に成功しました。

工数削減効果は年を追うごとに増加傾向にあり、2022年度は1年間で12万時間を削減できた特徴的な成功事例になっています。

出所:https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/jatco

まとめ RPAに向いている業務を把握しよう

まとめのイメージ

RPAを利用する際には向いている業務・向いていない業務を把握することが重要です。把握した上で、自社の業務効率化範囲を検討の上、RPA導入の必要性をご判断ください。

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