RPA導入の効果とは?業務効率への影響や費用対効果などについても解説

RPAツールの費用対効果とは?具体的な算出例も解説!

RPA (Robotic Process Automation) を導入することで、定型業務の自動化が可能となります。

また、多くのRPAツールでは利用時に高度なシステムリテラシーを求められないことから、各社で導入が進んでいます。

とはいえ、RPAツール導入による効果は本当にあるのか、具体的にどの程度の業務効率化効果があるのか疑問に思われている方も多いでしょう。

当記事ではRPAツール導入による定性/定量効果、導入時の注意点などをご紹介します。

目次

RPA導入による3大効果とは?

RPAのイメージ

RPAツール導入により以下のような効果が得られるといわれています。

  1. 人件費の削減
  2. 正確な業務運用
  3. 社員のモチベーション向上

では詳しく見ていきましょう。

3大効果①:人件費の削減

人件費の削減のイメージ

定型業務をロボットが代替することで、人件費の削減を見込むことが可能です。

また、一度RPAに作業(シナリオ)を覚えさせてしまえば、定期的に繰り返すことが可能ですので、長期的な人件費削減効果も見込めるでしょう。

加えて、RPAはロボットですので、24時間365日稼働することが可能です。

処理スピードが速く、稼働時間も長いことから、膨大な作業を短工数で実施することができ、人件費削減に大きく寄与することができます。

これまで人間が実施してきた単純作業をRPA、ロボットに任せることで、より生産的な仕事に人間が取り組むことができるのです。

3大効果②:正確な業務運用

定型業務であれば、RPAの方が人間よりも正確に業務を実施することができます。

長時間、かつ、注意点が多いような業務であれば、なおさらRPAによる正確性が際立つことでしょう。

一方で、OCR処理 (文字認識) した後、値が正確に読めているか確認、株価を見てその後の行動が変わるなど、何かしらの判断が伴うものについてはRPAでの正確性を発揮することができません。

RPAに任せられるのは、日々の業務で全く同じ動き、判断を伴わないものについてだけであると認識ください。

3大効果③:社員のモチベーション向上

社員のモチベーション向上のイメージ

定型業務を繰り返すばかりでは、社員の心理的な負担が増える傾向にあります。

定型業務量が多くなり、より、繰り返し量が増える場合、さらに心理的負担は増えることでしょう。

この点、RPAツールは定型業務を正確かつ、大量に対応することができるので、社員のモチベーション改善を期待することができます。

単純作業はRPAに任せ、RPAでは実現できない企画検討や業務改善案の検討など、よりクリエイティブな仕事に社員を回すことで、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上を期待できるのです。

RPA導入における3つの注意点とは?

RPA導入における3つの注意点とは?のイメージ

RPA導入によるメリットが大きい一方で、導入時に注意したいポイントがあります。

注意が必要なポイントは以下の通りです。

  1. 導入コスト
  2. システムリテラシーが必要
  3. 野良ロボットなど管理が行き届かない場合がある

注意点①:導入コスト

導入コストのイメージ

RPAを導入する場合、導入形態や方法、規模に応じたコストがかかります。

また、特にオンプレミス版のRPAを導入する場合には維持費用として、人件費やサーバー費がかかるでしょう。

クラウド版であれば、サーバーは自前で準備が不要、システムのアップグレードも自動であるなどの利点があるものの、少なからずサポートへの問い合わせなどに人件費がかかる点に注意ください。

注意点②:システムリテラシーが必要

RPAツールを利用する場合、一部SQLなどで実装する必要がある場合があるものの、基本的にはノーコードでセットアップすることができます。

とはいえ、RPAツールが万能というわけではありませんので、RPAツールで何が実現できて、何を実現できないのか、実現する場合に必要な設定内容など、少なからずシステムリテラシーが必要になる点に注意しましょう。

ただ、多くのRPAツールでは現場部門が主導でRPAツールの活用を進めている場合も多いため、過大なシステムリテラシーが必要になるわけではない点には留意下さい。

注意点③:野良ロボットなど管理が行き届かない場合がある

引継ぎ漏れなどによって、管理者のいないロボットが発生する場合があります。

例えば以下のような野良ロボットが代表的です。

  • ロボットが動いているものの、何を目的に動いているのかわからない
  • アップデートを受けていないので、動いてほしいのに動いてくれない

このような野良ロボットが発生することで以下のようなリスクが出てきますので、着実な引継ぎ体制の構築など、RPAツールの管理体制を整備する必要があります。

  • 情報漏洩
  • 内部監査の対象漏れ
  • データの誤記載・誤消去 など

費用対効果の算定方法と例

費用対効果の算定方法と例のイメージ

各企業によりRPAを活用する目的や前提条件が異なるため、一概に費用対効果を算出する方法の提示は難しいと言えるでしょう。

とはいえ、一般的に費用対効果を算出する際のポイント指標がありますのでご紹介します。

費用対効果を算出する際に抑えたいポイント

RPAによる費用対効果を算出する際には以下2つの要素を抑える必要があります。

  1. RPAツールの導入・運用コスト
  2. 削減された人件費など

ポイント①:RPAツールの導入・運用コスト

導入運用コストとして例えば、以下の項目があります。

  • RPAツールの年間ライセンス費用
  • RPA環境構築費用
  • 保守・運用費(年間)
  • RPA開発・教育にかかる人件費(年間)
  • サポート費用(年間) など

上記項目に対して、実績値、または推定値を当てはめることで、RPAツールの導入運用コストを算出しましょう。

ポイント②:削減された人件費など

仮にRPAツール導入による効果を人件費削減とする場合、以下項目について検討ください。

  • 業務1件の処理にかかる時間
  • 1年で処理できた件数
  • 担当者の時給

おおよそのⓐ人件費削減効果ⓑRPAツールの導入・運用コストが推定できることで、費用対効果をⓐ-ⓑとして算出することが可能です。

ただし、上記前提や方法は各企業が利用するRPAツールや利用するRPAの提供タイプなどにより大きく異なりますので、費用対効果の推定値を算出する際には、自社に適した前提を置いて計算ください。

費用対効果算出例

費用対効果算出方法のイメージ

仮に以下のように前提を置くと、費用対効果は年間2,183,333円となり、RPAツールは費用対効果に見合うと判断することができます。

  • RPAツールの年間ライセンス費用: 500,000円
  • RPA環境構築費用: 200,000円
  • 保守・運用費(年間): 100,000円
  • RPA開発・教育にかかる人件費(年間): 300,000円
  • サポート費用(年間): 50,000円
  • 1件の処理にかかる時間: 5分
  • 1年で処理できた件数: 20,000件
  • 担当者の時給: 2,000円

上記前提で計算すると以下のようになります。

  • RPA導入・運用コスト(年間)
    = ライセンス費用 + 環境構築費用 + 保守・運用費 + 開発・教育人件費 + サポート費用
    = 500,000 + 200,000 + 100,000 + 300,000 + 50,000
    = 1,150,000円
  • 削減された人件費 = 処理時間 × 処理件数 × 時給
    = (5/60) × 20,000 × 2,000
    = 3,333,333円

結果、費用対効果を推定すると以下の通りです。

  • RPAツールの導入による年間の費用対効果は削減された人件費 – RPA導入・運用コスト
    = 3,333,333 – 1,150,000
    =
    2,183,333円

費用対効果測定2つの事例

何を目的に導入するかにより、効果測定の内容も変わります。

以下では、RPAツールを導入する場合の代表的な”目的”別の効果測定事例をご紹介します。

  • 効果測定事例①:三井住友信託銀行 少量多品種の業務効率化
  • 効果測定事例②:ジヤトコ ボトムアップでのRPA活用

効果測定事例①:三井住友信託銀行 少量多品種の業務効率化

効果測定事例①:銀行のイメージ

目的 信託銀行における少量多品種業務の効率化。例えば、セミナーアンケート収集の効率化。
効果 企業全体で30分程度の効率化、アンケート収集業務を5時間 ⇒ 30分程度の効率化を実現。

専業の信託銀行である三井住友銀行では、顧客から預かった資産を顧客移行に沿った形式で運用するなど、多様な業務がありました。

業務の幅は広く、少量多品種の細かな業務に対して、効率化が求められていたのです。

大規模なシステムであると、少量多品種である業務への効率化施策としては、費用対効果が見出しにくかったため、RPAツールの活用を進めました。

結果、例えば、セミナーにおけるアンケート収集業務に従来であれば、5時間程度かかっていましたが、30分程度の短縮に成功しています。

このような少量多品種な業務に対する効率化により、企業全体で年間40万時間程度の業務効率化に成功しているのです。

出所:https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/smtb

効果測定事例②:ジヤトコ ボトムアップでのRPA活用

効果測定事例②:自動車工場のイメージ

目的 自動車部品を製造する際に生じる多数の付随業務の業務負荷軽減
効果 2018年より活動し4年間で延べ20万時間の工数削減に成功。
年数を重ねるごとに効率化効果は大きくなり、2022年度には12万時間の削減効果を実現。

自動車部品を製造するジヤトコでは、部品製造にあたり発生する多数の付随業務の負荷軽減が喫緊の課題でした。

この課題に対して、RPAを活用する選任部署を作成し、全社的にRPA活用を推進しています。

各部門による「市民開発」を推進するため、各部門に対してテクニカルリーダーの育成、および、セキュリティや保守の運用整備を実施しました。

結果、ジヤトコ内でRPA開発が可能な人材は900人を超え、延べ450体以上のロボット開発、4年間で延べ20万時間の業務効率化に成功しています。

直近2022年度では単年で12万時間の業務効率化効果を測定しているため、RPAの活用を推進するほど、効率化効果が大きくなることがわかる典型的な事例となっている点が特徴的です。

出所:https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/jatco

まとめ RPAツールのROIを算出してみよう

まとめのイメージ

RPAツールを導入することによる費用対効果は良いのか疑問に思う場合には、一度推定値を算出してみるようにしてみましょう。

推定時にはRPAツールを利用する際の料金体系や運用方針まで検討しなければ、推定することができません。

つまり、必然的にRPAツールの導入要否、実現可能性を検討できますので、費用対効果の算出をゴールとすることで、検討がスムーズに進む場合が多いのです。

RPAツールを検討の際にはぜひ費用対効果算出を一つのゴールとしてご対応ください。

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