RPAツールの成功事例とは 業界別に業務の自動化例を解説

【業界別】RPAツール導入の成功事例とは ポイントを解説

RPA (Robotic Process Automation)は近年急速に市場が拡大し、大手企業への導入が相次いでいます。特に少量多品種を抱えかつ、正確なデータ入力が求められる金融業界などとは親和性が高く、導入事例・成功事例も多いようです。

三井住友信託銀行など名だたる企業に導入が進んでいるため、導入をした目的や効果を参考にすることで自社導入における成功の糧にしていきましょう。

当記事では、RPAが導入された実績の大きな金融業界、製造業界、公共領域に対して各RPAツールの導入実績を紹介します。

目次

RPAとは何か

RPAのイメージ

RPAとはRobotic Process Automationの略称で、ロボットによる業務の自動化を指します。

以前より製造現場ではロボットの活用によって業務の自動化・効率化が進められてきましたが、昨今ではデスクワーク業務に対してもロボットの活用が進められており、それらの代表的なものにRPAがあると言えるでしょう。

RPAを利用することで、画面上で行った作業をロボットが学習し、自動反復することができます。

例えば以下のような業務の自動化がRPAの得意分野です。

  • キーボードやマウスなど、パソコン画面操作の自動化すること
  • ディスプレイ画面の文字、図形、色の判別すること
  • 別システムのアプリケーション間のデータの自動受け渡すこと
  • 社内システムと業務アプリケーションの自動データ連携すること
  • 業種、職種などに合わせた柔軟なカスタマイズ
  • 条件分岐設定やAIなどによる適切なエラー処理と自動応答
  • アプリケーションの起動や終了
  • スケジュールの設定と自動実行
  • 蓄積されたデータの整理や分析
  • プログラミングによらない業務手順の設定

出典:総務省|情報通信統計データベース|RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上) (soumu.go.jp)

以上のRPAによる業務自動化が得意な作業・領域を踏まえつつ、RPAを巧みに活用した成功事例を見ていきましょう。

金融業界での成功事例

金融業界のイメージ

RPAは少量多品種な業務を多数抱える金融業界で積極的に活用され、成功事例が多数存在します。

業務単位でシステムを導入しても業務効率化による費用対効果を実感することはできませんが、企業単位でシステムを導入・活用すれば費用対効果を見込めるためです。

  • 成功事例①:京葉銀行 OCRを活用し登録・照会業務を自動化
  • 成功事例②:三井住友信託銀行 少量多品種の業務効率化

成功事例①:京葉銀行 OCRを活用し登録・照会業務を自動化

千葉県を代表する地方銀行の1つ、京葉銀行では、NTTデータ社のwinactorを導入し活用することで、82もの業務の自動化に成功しています。

京葉銀行でRPAツールを導入した主な部門は、同行でも特に紙の利用が多い住宅ローン取り扱い部門です。この部門では年間数千件以上、住宅ローンの審査依頼を申込Webサイトや郵送、FAXで受け付けています。

申込書の内容を紹介する作業には1件あたり30~60分かかるため、負荷の高い作業となっていた点が課題でした。

この課題に対して、Web上からの申し込みについてはwinactorが自動でシステム上にデータを入力する仕組みを組成することで業務効率化を図っています。

また、NTTデータ社が提供するAI-OCR DX-SUITEを活用することで、紙の申し込み書のデータ化を実現し、紙申込書についても業務効率化を図っている点が特徴的な成功事例と言えるでしょう。

参照:https://winactor.com/case/winactoruse/keiyobank

成功事例②:三井住友信託銀行 少量多品種の業務効率化

専業信託銀行である三井住友信託銀行では、顧客の財産資産を預かり、顧客の意向に沿った運用管理など、業務の幅は非常に広いです。したがって、少量多品種業務の効率化が長年課題でした。

少量多品種な各業務に対して、システムソリューションを適用しようとしてもコストパフォーマンスが良くないため、なかなか課題の解消をすることができていませんでした。

しかし、RPAツールであるUiPathであれば、個別業務の効率化を低コストで実現できるため、活用されています。例えば、個人企画部ではアンケート結果の集計にRPAの活用をしています。

従来アンケートの集計には5時間程度かかっていましたが、RPAツールを活用することにより30分程度で完了可能です。

このように少量多品種の業務を効率化することで、企業全体では年間40万時間超の時間創出と業務品質向上に成功しています。

参照:https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/smtb

製造業界での成功事例

製造業界のイメージ

金融業界と比較するとRPAの導入実績は少ないものの、製造業界でもRPAの成功事例が多数存在します。金融業界と同様に製造業においても製品を作り出す工程で細かな業務・作業が多いため、RPAとの親和性が高いです。

  • 成功事例①:三菱造船 改正電帳法を効率化 ペーパーレス化実現
  • 成功事例②:ジヤトコ ボトムアップでのRPA活用

成功事例①:三菱造船 改正電帳法を効率化 ペーパーレス化実現

三菱重工の造船事業を継承する形で生まれたのが三菱造船です。三菱造船の資材調達部では、船の建造に必要な部品を調達しています。

調達業務では、税法上の国税関係書類 (見積書や注文書など) が多数発生することから、電子で授受した文書については電子帳簿保存法の要件を満たして保存が必要でした。

また、紙の書類により相手方とやり取りすることも多かったため、ペーパーレス化の実現も急務とされていたのです。

この点、電子帳簿保存法対応の認証 (JIIMA認証) を受けた文書管理ツールclimberCloudとNTTデータが提供するRPAツールwinactorを併用して活用することで電子帳簿保存法対応およびペーパーレス化を実現しています。

具体的には上位システムから出力された帳票データをwinactorがファイルサーバー上の監視フォルダー上に自動連係、または、climberCloud上の特定フォルダーに自動連係することで効率化、ペーパーレス化を実現しています。

年間264,000枚の紙と年間960時間の削減を成功している点も特徴的な成功事例です。

参照:https://winactor.com/case/winactoruse/38191/

成功事例②:ジヤトコ ボトムアップでのRPA活用

自動車部品を製造するジヤトコでは、製造業特有の課題を持っていました。モノを生み出す過程で多数の付随する業務・作業があり、付随業務による業務負荷が高い点が課題でした。

この課題に対して、ジヤトコではRPAを活用するための専業部門を組成し、全社に対してRPAにより自動化したい業務の募集、および、自動化のためのロボット開発を実施しています。

また、各部門が自発的な開発「市民開発」が理想像と定めていたため、セキュリティや保守についてのルール整備、RPA開発のテクニカルリーダーを各部門に育成、人事評価の整備を実施しています。

結果、ジヤトコ内でRPA開発が可能な人材は900人を超え、延べ450体以上ロボットを開発し、4年間で延べ20万時間の工数削減に成功しました。工数削減効果は年を追うごとに増加傾向にあり、2022年度は1年間で12万時間を削減できた特徴的な成功事例になっています。

参照:https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/jatco

地方自治体での成功事例

地方自治体のイメージ

地方自治体など公共領域でもRPAの導入が進んだ成功事例が多数あります。RPAツールであれば人間がデータ入力などをするよりも正確に実施できる点が評価されているようです。

  • 成功事例①:神奈川県 横浜市 自治体業務を効率化 500時間分の残業時間を削減効果
  • 成功事例②:石川県 加賀市 人口減少時代の効率化手段としてのRPA

成功事例①:神奈川県 横浜市 自治体業務を効率化 500時間分の残業時間を削減効果

人口375万人以上をかかえる横浜市の中で、保育所などの運営支援等を扱うのが青少年局保育・教育運営課です。保育園・幼稚園利用希望者から年間30,000件以上の申請書類が存在し、繁忙期である10月下旬から11月下旬に集中して申請されます。

一方、20人程度の職員、70名程度の派遣スタッフだけでの処理では対応が間に合わない点に課題がありました。

申請書をAI Inside社が提供するAI-OCR DX-Suiteを導入することで、データ化、データ化したCSV情報をダウンロード、業務システムへの入力、受付簿の作成までを自動化しています。

結果、従来1件あたり30分以上かかっていた作業を数分程度に削減することに成功した特徴的な成功事例です。のべ500時間の残業時間削減にも成功しており、市民からの問い合わせにスピーディーに回答するだけの余力が生まれています。

参照:https://winactor.com/case/winactoruse/yokohama

成功事例②:石川県 加賀市 人口減少時代の効率化手段としてのRPA

全国規模で人口減少や働き方の多様化が進んでいます。石川県加賀市の行政サービスにおいても多分に漏れず、職員の確保および市職員の業務負荷拡大に課題感を持っていました。

石川県 加賀市ではRPAを段階的に導入することにしました。最初に4つの業務を選定することで、RPAによる業務効率化効果の測定を試みています。

特に契約管理システムと電子入札システムの相互連携など、従来のシステムでは効率化が困難であった課題に対してコストに対する十分な効果を得られるかが争点だったようです。

結果、4つの業務に対して、73%の業務効率化に成功しています。特に注目していた契約管理システムと電子入札システムの相互連携では、87%の効率化に成功し、RPAによる効率化推進のきっかけになった成功事例となっています。

この成功事例をもとにRPA導入をしない企業に展開し、イノベーション推進と地域振興を目指す方針です。

参照:https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/kaga-shi

まとめ RPAツールを導入して業務効率化を目指そう

まとめのイメージ

金融業界、製造業界、公共領域のいずれに対してもRPAツールの導入された事例が多数存在します。いずれの事例も成功のポイントは、”何を目的として”RPAツールを導入するのか、課題感が明確になっている点です。

闇雲にRPAツールを導入しても、”野良ロボット”がはびこる環境になってしまった事例は数えしれません。各業界の成功事例を参考にしながら自社企業の導入目的、解消したい課題を明確にしていくようにしていきましょう。

こちらの記事もおすすめ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次