世界的調査会社ガートナー社による調査では、RPAにおける世界の2020年売上高は15.8億ドル (約1,738億円) でした。
2024年までは引き続き2桁成長が続くと予想されており、RPA市場は国内外問わず成長が見込まれています。
多くの企業がサービスを導入済み or 導入を検討されていますが、導入時にはRPAの種類と種類別の違い・特徴の理解が必要です。当記事ではRPAの種類とポイントを解説します。
RPAの種類は大きく分けると3つ
RPAにはシステム上の特徴により大きく以下3つの種類があります。
種類により、機能実装可能な範囲やコスト感などが異なりますので、まずは種類による違い・特徴を理解してから段階的に導入を進めるようにしましょう。
- 種類①:クラウド型
- 種類②:デスクトップ型
- 種類③:サーバー型
種類①:クラウド型
クラウド型はブラウザ上で操作する種類のRPAツールです。
事業者が提供するサーバーにアクセスし、ブラウザ上で操作します。基本的にブラウザ上で動く種類のソフトを対象にして自動化が可能です。
自社でサーバーを構築する必要がないため、イニシャルコストやランニングコストを低価格にすることができる、技術的なハードルが低い点にメリットがあります。
また、事業者が管理するサーバー上で稼働しますので、最新バージョンへの自動アップデート、関連情報の随時提供・サポートが受けられる点が魅力的です。
種類②:デスクトップ型
デスクトップ型はPCにソフトをインストールすることで導入できる種類のRPAツールです。
サーバーの準備が必要なくPCの準備があれば導入開始できることから、スモールスタートに適した種類といえます。
スモールスタートをすることで、RPAツールで実現可能な機能を知りたい、RPAツール導入時に問題となる技術的な課題を把握しておきたいなどの意図がある場合にはデスクトップ型がおすすめです。
種類③:サーバー型
サーバー型は自社で事前に構築したサーバー上に稼働する種類のRPAツールです。
自社でサーバーを準備する必要があるため、コスト面では比較的高価ですが、複数のPCを一括して管理できる点にメリットがあります。
また、自社内ですでに稼働している会計システムなど、他システムとの連携設定・開発もしやすい点も魅力的です。
種類別の導入比較ポイント
RPAツールの導入を検討する際、クラウド型、デスクトップ型、サーバー型の種類別にメリット・デメリットの把握が必要です。そこで以下のよくある評価軸別に比較ポイントを紹介します。
- 性能:サーバー型がおすすめ
- コスト:デスクトップ型がおすすめ
- 拡張性:サーバー型orクラウド型がおすすめ
- カスタマイズ性:サーバー型がおすすめ
- セキュリティ:サーバー型orデスクトップ型がおすすめ
性能:サーバー型がおすすめ
クラウド型RPA | デスクトップ型 | サーバー型RPA |
---|---|---|
△:特筆事項無し | △:特筆事項無し | 〇:十分なスペックとストレージ容量を確保できるため、一度に大量のデータを処理できる。 |
性能面でいうと、サーバー型RPAツールが最も高いパフォーマンスを発揮できる種類です。サーバー型であれば十分なスペックとストレージ容量を確保できるため、一度に大量のデータを処理できます。
例えば、既存のソフトウェアをサーバー上に統合させた上で、一度に100体以上のロボットを稼働させ、部門ごとに管理していたデータに対して業務効率化を図っていくような使い方が可能です。
ただし、サーバー上にRPAツールをインストールするため、サーバー構築や開発、運用の技術的ハードルが比較的高い点が課題になります。
コスト:デスクトップ型がおすすめ
クラウド型RPA | デスクトップ型 | サーバー型RPA |
---|---|---|
△:サーバー環境を整備する必要ない、ソフトウェアのアップデートが不要、利用ユーザー数に合わせて随時料金形態を変更できる。 | 〇:クラウド型よりもさらに安価なライセンス形態をとっている場合が多い | △:イニシャルコストが数百万円以上かかる場合も少なくない |
コスト面でいえば、デスクトップ型が最もイニシャルコスト・ラニングコストを抑えて運用が可能な種類です。
サーバー型RPAツールを利用する場合、イニシャルコストが数百万円以上かかる場合も少なくありません。したがって、すでに要件が明確にあり、大規模に導入した企業であればサーバー型がおすすめです。
一方、クラウド型であれば、サーバー環境を整備する必要ない、ソフトウェアのアップデートが不要、利用ユーザー数に合わせて随時料金形態を変更できるなど、業務負荷を軽減してRPAツールの導入が進められます。
ただし、クラウド型の場合、業務効率化の対象範囲がクラウド上で稼働するシステムに限定されるため、社内システムやPC上のアプリケーションの効率化までできない点が課題です。
同様に、デスクトップ型の場合、クラウド型よりもさらに安価なライセンス形態をとっている場合が多いので、安価にRPAツールを導入しやすい点も特徴的でしょう。
デスクトップ型は幅広い単純な反復作業な業務を対象にして、コストを抑えて業務の自動化が可能です。
拡張性:サーバー型orクラウド型がおすすめ
クラウド型RPA | デスクトップ型 | サーバー型RPA |
---|---|---|
〇:画面上のGUI操作で簡単に開発を完了できる場合も多い。現場ユーザー主体で導入を進めやすく、部署単位で独自に自動化対応を進めやすい。 | △:PC単位でRPAツールを利用できるため、部門や個人レベルなど小規模導入が可能。 | 〇:一度に100体以上のロボットを稼働可能。大規模導入、かつ、複数のシステムや業務を跨いだ処理の実行が可能。 |
拡張性の面でいうと、サーバー型またはクラウド型RPAツールが最も適した種類です。
サーバー上でRPAツールを稼働させるため、一度に100体以上のロボットを稼働可能ですので、大規模導入、かつ、複数のシステムや業務を跨いだ処理の実行ができます。
一方、デスクトップ型であれば、小さく始めて大きく拡張する点において優れている種類です。
デスクトップ型であれば、PC単位でRPAツールを利用できるため、部門や個人レベルなど小規模導入が進められます。まずは安価にスモールスタートしたい場合には適しているでしょう。
また、開発技術や資格を持つ人材がいない中での拡張性という意味でいうと、クラウド型RPAツールが適した種類です。一方、ロボットの機能はPCスペックに依存する点に課題があります。
クラウド型RPAツールであれば、画面上のGUI操作で簡単に開発を完了できる場合も多いため、現場ユーザー主体で導入を進めやすく、部署単位で独自に自動化対応を進めやすい点が利点です。
カスタマイズ性:サーバー型がおすすめ
クラウド型RPA | デスクトップ型 | サーバー型RPA |
---|---|---|
△:安価に手間なくRPAツールの利用ができる一方で、クラウド上の機能に対して個社要件を反映させる点に課題。 | △:特筆事項無し | 〇:現場部門の細かな要件を反映したロボットを作れる。 |
カスタマイズ性の面でいえば、サーバー型RPAツールが最も企業の要件に適したシステムを構築できる種類です。
クラウド型RPAツールの場合、安価に手間なくRPAツールの利用ができる一方で、クラウド上の機能に対して個社要件を反映させる点に苦労します。
一方、サーバー型RPAツールであれば、現場部門の細かな要件を反映したロボットを作れる点が魅力的です。例えば、自社サーバー上にある他アプリケーションと連携させることで以下のような内容を実現可能です。
- 請求データ反映:受領した請求書をAI-OCRによりデータ化し、取得した請求金額、請求年月日などをCSV出力後、会計システムに自動反映させる。 など
セキュリティ:サーバー型orデスクトップ型がおすすめ
クラウド型RPA | デスクトップ型 | サーバー型RPA |
---|---|---|
△:特筆事項無し | 〇:外部環境から遮断した構成を取ることが可能。 | 〇:外部環境から遮断した構成を取ることが可能。 |
セキュリティ性の面でいえば、サーバー型またはデスクトップ型RPAツールが最も要件に適したシステムを構築ができる種類です。
RPAはソフトウェアですので、例えばサイバー攻撃の対象になる場合があります。インターネット回線経由で悪意ある第三者からバックドアを作成され、不正侵入されるリスクがあるのです。
この点、サーバー型やデスクトップ型であれば、外部環境から遮断した構成を取ることができます。各社のセキュリティーポリシーに合わせて個別に開発できる点が魅力的です。
まとめ RPAツールの比較方法を最初に理解しよう
RPAツールは3つの種類によって、得意とする業務効率化の範囲や機能的な特徴が異なります。RPAツールを導入するのであれば、まずは種類を理解したうえで、個別具体的な製品選びをするとツール導入がスムーズです。
種類別の特徴を抑えて導入を進めていきましょう!