RPAのシナリオとは?作成方法や考え方のコツ、注意点などを解説!

RPA活用におけるシナリオ作成のコツとは?作成手順や注意点も解説!

RPAを活用することで企業内に存在する多くの定型業務を自動化できます。RPAを導入して最初の関門がシナリオ作成です。シナリオ作成時に何に気を付ければよいのか、コツはあるのかと疑問に感じる方も多いでしょう。

当記事では、RPAシナリオ作成時のコツ、シナリオ作成時の注意点、具体的なシナリオ作成手順を解説します。

目次

RPAシナリオとは?

RPAシナリオのイメージ

シナリオと聞くと、演劇やドラマの台本を思い浮かべる方も多いでしょう。RPAにおけるシナリオとは、RPAに実行してほしい作業手順を意味します。RPAを導入したら、まずシナリオ作成に取り組んでいきましょう。

シナリオとは作業手順を指す

RPAにおけるシナリオでは、例えば以下のような作業手順を定義することを意味します。例えば、Excelで請求書作成シナリオは以下の通りです。

  1. Excelを開く
  2. 請求書テンプレートを開く
  3. 送付先を入力する
  4. 取引名を入力する
  5. 取引商品を入力する
  6. 取引数量を入力する
  7. 名前を付けて保存する
  8. 請求書を印刷する

以上のように請求書作成というシンプルな作業であっても、ロボットに業務を依頼する場合には細かなステップに分けて指示する必要があります。この細かなステップをシナリオ作成と呼んでいるのです。

シナリオの作り方は2つある

シナリオの作り方は大きく以下の2つがあります。

  • 簡易型
  • 開発型

簡易型を利用する場合、プログラミングなどの専門知見がなくても、シナリオ作成ができます。人間がパソコン上で操作した内容をRPAが記録し、シナリオ作成ができるでしょう。

一方、開発型はプログラミング知識を利用して、より要件にあうシナリオ作成ができます。

基本的にはマウス操作によりシナリオ作成をしていきますが、RPAの標準機能にない動きについてはプログラミングによる組み込みが必要です。

複雑な操作のシナリオ作成をする際には、外部公開されたAPIを活用しつつ自社の要件にあうシナリオを作成していくことになるでしょう。

RPAシナリオ作成のコツ3選

シナリオ作成のコツイメージ

RPAシナリオを作成する際、最低限抑えておくべきコツは以下の通りです。

  1. 小さい業務から作成する
  2. 無意識の作業をシナリオに組み込む
  3. シナリオの可読性を考慮する

1.小さい業務から作成する

RPAの操作に慣れることを目的に、導入初期は小さい業務からシナリオ作成をしましょう。些細な業務だと思っていても、シナリオにするとステップ数が膨大になることがあります。

まずは小さな業務からシナリオ作成をしていき、RPAにおけるシナリオ作成方法、RPAでできること、できないことを体感してから、大きな業務のシナリオ作成がおすすめです。

なお、「特定の文書から記載を転記する」「システムから情報をダウンロードする」などの業務はシンプルに作成できる上に、今後シナリオ作成をする際によく使うシナリオになりますので、初期の作成におすすめします。

2.無意識の作業をシナリオに組み込む

ロボットは事前に定義されたシナリオ通りの動きしかできません。つまり、人間が無意識に実施していることも含めてシナリオに記載する必要がある点に注意しましょう。

例えば、人間であれば、前回のログインからWebサイト上で多少のボタンのずれであっても”無意識に”ボタンを選択します。

しかし、ロボットは定義された場所のボタンしか押すことができず、ボタンの位置がずれた場合にはエラーになってしまいます。

またよくある例としては、シナリオに「待機時間」を組み込み忘れる例です。人間がWebサイト上でファイルダウンロードする場合、ダウンロード中は”無意識に”数秒から数分待機します。

しかし、もし待機時間をシナリオに組み込み忘れた場合、ファイルダウンロードした直後に対象ファイルにアクションをかけるため、エラーになってしまいます。

以上のように人間の無意識の作業を組み込んだシナリオ作成をするようにしましょう。

3.シナリオの可読性を考慮する

RPAを稼働後に備え、シナリオの可読性を高める必要があります。

RPAを稼働させた後、シナリオの変更や担当者引継ぎなど、シナリオを再度確認するシーンが業務上、想定より多いためです。可読性を高めることで、シナリオの維持、メンテナンスを行いやすくしましょう。

シナリオ上のノード名やコメントをわかりやすくつけること、また処理単位でグループ化することで可読性を高めることができます。特にノード名の命名規則には気を払うと良いです。

例えば、ノード名が「値の設定」では、第三者が見た時に何をするノードなのか判然としません。ノード名を付与する際には命名規則を業務内で定義し運用していくことが重要です。

RPAシナリオ作成手順は?

作成手順のイメージ

RPAのシナリオ作成手順は大きく以下の3段階です。

  1. シナリオを設計する
  2. シナリオを実装する
  3. シナリオをテストする

1.シナリオを設計する

シナリオ設計では、処理フローを整理し、実装に入る前の準備を行います。

処理フローを整理することで、後続の実装工程が効率的になるだけでなく、シナリオ自体の可読性が向上するため引継ぎ管理やメンテナンスがしやすくなります。

特にRPA開発ではシナリオ作成担当者と業務担当者の認識齟齬が原因で、業務担当者が求めるシナリオが実装されず、開発が遅延するケースがあります。

このケースを予防するためにもシナリオ設計の段階で認識合わせをするようにしましょう。

2.シナリオを実装する

設計段階でシナリオ担当者と業務担当者で認識を合わせたシナリオを元にシナリオ作成に取り組む工程が実装工程です。

RPAツールを開き、フローチャート画面などを利用しながらシナリオをRPA上に実装していきます。設計工程で定めた自動化対象業務をノードに置き換えていきましょう。

利用するRPAツール毎に自動化対象の画面や要素に対して、利用すべき部品(ノード)が異なります。

自動化対象ごとにどのノードを利用すべきか理解することで、円滑にシナリオ実装を進められますので、ある程度ノードに対して理解を深めてから実装するようにしてください。

3.シナリオをテストする

実装したシナリオが想定通りに動くか確認する工程がテスト工程です。

テスト工程を行うことで、業務担当者が求めた要件がシナリオ上に反映されているか、設計工程では見落としていた要件があるか、判別できます。

設計工程を重視して実装したため、テスト工程を簡略化するケースもありますが、このケースで怖いのは本番運用で意図したシナリオで動かず、業務に支障がでる場合です。

本番運用に支障をきたさないためにも、様々なデータを利用してテスト工程を実施するようにしましょう。一般的なテスト工程は以下の通りです。

  • 単体テスト
  • 結合テスト
  • 本番データテスト
  • 耐久テスト

単体テストではグループやサブルーチンが動くか確認してください。

単体テスト時に変数に初期値を設定して進める場合がありますが、のちにエラーが生じた際に原因特定の障害になる場合がありますので、単体テスト後は変数に設定した初期値は削除するようにしましょう。

結合テストでは全体結合により、繰り返し処理や各分岐処理が正常に終了するか確認します。テストパターンを複数準備し想定外の事態に備えましょう。

本番データテストでは、本番データを利用して検討が漏れていたエラーパターンを洗い出します。この段階で初めて検討漏れが判明することも多いです。検討漏れが生じた際には、改めてテストを実施し、シナリオの精度を高めていきましょう。

耐久テストではシナリオの処理量を増やし、長時間シナリオを実施した場合に不具合がないかテストします。ここまでのテストでは判明しなかったエラーが出る場合がありますので、注意しましょう。

RPAは特に夜間や休日・祭日に動かす想定の企業が多いです。途中でシナリオが止まることで、再実行が難しく、業務に支障が出る場合がありますので、耐久テストはちゃんと実施してください。

設計時の注意点は?

注意点のイメージ

RPAツール上でシナリオを作成する際、いくつか注意点があります。よく頭から抜けやすい注意点は以下の通りです。

  1. アプリやブラウザをシナリオに組み込むことができる
  2. シナリオ作成は外注するのも一つの手段

1.アプリやブラウザをシナリオに組み込むことができる

シナリオにはローカル上の操作のみだけでなく、アプリケーションやブラウザの操作を組み込むことが可能です。簡易型を利用する場合、例えば以下のような操作も組み込めますので、事前に把握しておきましょう。

  • マウス操作で範囲選択をする
  • カーソル位置で文字入力を行う
  • Webページ上の画面をスクリーンショットし保存する
  • ブラウザ上で外部連携サービスにデータ登録する
  • Excelファイルのシートを統合する
  • 複数のエクエルファイルから数値を取得し、1ファイルに統合する
  • Outlookを利用しリマインドメールを送付する
  • ブラウザ上で認証画面にログインする など

異なるアプリケーション間やブラウザを横断した業務であっても、シナリオ上に組み込むことができる場合も多いですので、ぜひご検討ください。

2.シナリオ作成は外注するのも一つの手段

簡易型のRPAツールを利用すれば簡単にシナリオ作成ができます。ただ、ツール自体は簡単であっても、要件が複雑であると簡易型RPAツールの表運機能では実現が難しい場合も多いようです。

この時におすすめしたいのが、シナリオ作成を外注する方法です。RPAツール提供ベンダーの中には、RPAツール活用を推進する専門部隊を保持している場合もあり、彼らが複雑なRPAツール活用を支援してくれるケースもあります。

もし、RPAツールの活用に不安がある場合には、RPAツール選びの際に活用支援サービスがあるかを比較軸にしてもよいでしょう。

また、シナリオ作成の専門業者が市場にはいますので、専門業者に委託してしまってもよいです。費用が掛かったとしても、プロの技術によって高品質なRPAを作成するため、安心して業務に取り組めます。

まとめ 設計段階を重視しよう

まとめ

RPA活用の最大のコツは設計段階を重視する点にあります。設計段階でシナリオ作成担当者と業務担当者の認識齟齬を可能な限り減らして、業務運用段階で「こんなRPAツールを求めていなかった」が内容にしてください。

自社のみでRPAツールの活用が難しい場合には設計段階にプロをいれるのも良い手段です。自社のRPAツールへのリテラシーを鑑みたうえで、どのようにRPAツールを自社に適用させていくのか検討するとよいでしょう。

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