近年の日本では、企業の人手不足や働き方改革などの影響からRPA (Robotic Process Automation)の注目度が増加傾向にあります。
また、導入実績も増加傾向にあり、これからますますRPAツールの導入は進んでいくことでしょう。
今日、多くの企業では様々なシステムを利用し、業務の効率化に一役かっています。
しかし、いかなるシステムもメリットとデメリットがあり、双方を頭に入れておくことで、システムを最大限活かしつつトラブルを回避することができるでしょう。
RPAも同様に、RPAツールの導入・運用をしていくにあたって、起こりうるリスクを把握し、対策を立てることは大切です。
そこで、この記事ではRPAツールの導入・運用の際に起こりうるリスクとその対策について説明していきます。
RPAの導入・運用をする上で起こりうる3つのリスクと対策
RPAを導入・運用、また最大限活用し恩恵を受けるには、起こりうるリスクを知っておくことが大切です。
これらのリスクを知っておくだけで、導入・運用の際の、トラブルを未然に防ぐ、または早急な対応が可能になるでしょう。
以下ではRPAを導入・運用した際の具体的な起こりうるリスクとその対策についてまとめていきます。
- セキュリティの問題
- 業務のブラックボックス化
- システム障害
それぞれを詳しく見ていきましょう。
1.考慮すべきリスク:セキュリティの問題
RPAの導入・運用において、セキュリティの問題は把握しておくべきリスクです。
RPA導入によって、手入力によるヒューマンエラーの発生をなくすことができるため、セキュリティ面で安全性を高めることができると考えられますが、留意しておくべきポイントがあります。
【リスク】ID・パスワードの不正利用
RPAは業務の効率化のために、ID・パスワードをいくつかのシステムやアプリケーションに埋め込むことが多いため、それに伴い直接関係のない人物にアクセス権を与えてしまい、第三者が流入するというリスクがあります。
またそこから、最悪の場合第三者がID・パスワードを悪意のある不正利用に使用し、情報漏洩やシステムのセキュリティを突破される可能性が考えられるため、注意が必要です。
【対策】ID・パスワードの管理
セキュリティ面での脆弱性が露呈しうる場面は上記のとおりです。
逆を返せば、上記のケースへの対策が、セキュリティ面のリスクに対する対策であると言えるでしょう。
上記ケースへの対策としては、ID やパスワードの管理が重要となります。
一般的に採られている方法は社内にRPAなどのツールを管理する部門やチームを置くという方法です。
RPAのマネジメントに対して、責任者を置き、常にRPAの権限や、使用有無などの確認をすることで、RPAの管理とセキュリティを維持することができます。
また、RPAツールのベンダーにサポートをお願いするという方法もあります。
前述のとおり、ヒューマンエラーの発生をなくすことができ、かつID・パスワードをきちんと管理すれば、セキュリティの面も心配はないため、大きく危惧するリスクではないと言えるでしょう。
2.考慮すべきリスク:業務のブラックボックス化
業務のブラックボックス化は、主に管理の問題によって引き起こされる可能性のあるリスクです。
こちらの点も、リスクと対策を知っておくことで回避することができます。
【リスク】業務の引継ぎ、復旧の難化
RPAを導入することにより、人の手による業務は減り、業務が自動化されることとなります。
そのため、業務内容の詳細が見えづらくなり、担当者や管理者の入れ替わりが起こる際の引継ぎなどをスムーズに行うことが難しくなるというリスクがあります。
また、ブラックボックス化によって、業務において何かトラブルや失敗が起きた際に、業務の自動化によって原因の究明が難しくなり、業務の復旧に向け必要な作業が把握しづらくなってしまうというリスクもあるかもしれません。
【対策】業務領域の理解やマニュアルの制作
業務フローの明確化によって、業務のブラックボックス化というリスクを回避することができます。
自動化によって、業務の詳細を理解することができないというリスクは、RPAを使用する範囲を定めておき、共有しておくこと。
また、RPAの担当する業務領域を常に理解しておくことで、回避することができます。
また、トラブルが起こってしまった際に、素早く対応できるように、業務に関するマニュアルの制作や、業務の進捗状況の記録を残しておくことが重要となるでしょう。
3.考慮すべきリスク:システムエラー、システム障害
RPAの導入・運用において、システムエラー、システム障害もリスクの1つと言えるでしょう。
こちらは、RPAツールに限らず、企業が導入する様々なオンラインツールに包含されるリスクと言えます。
こちらは、すでに多くの企業が対策している、またはRPAに限らずオンラインツールを使用しているすべての企業にとって今後の対策が必要となるリスクです。
【リスク】システムエラー
RPAツールにおいて、システムエラーによって引き起こされる主なトラブルは、RPAと既存システム間で起こりうるものです。
RPAを既存のシステムと組み合わせて運用している場合、RPAと既存のシステムの不一致や、既存システムのアップデートにRPAの対応が追い付かず、自動で行われるはずのRPAの処理が停止してしまうなどのエラーが起こるケースは少なくありません。
それにより、自動化によって業務の効率化を図ったはずが、業務の遅延や停止につながるというリスクがあります。
また、インフラであるネットワークに障害があった際、RPAツールが動かず、自動で行われるべきであった業務が進まないといった問題が起こるというリスクもあります。
【対策】定期的なチェックとエラー発生時の対応
RPAの導入・運用において、定期的にRPAツールやRPAと組み合わせて使用しているツールの状態などをチェックし、システムによるトラブルの発生を抑えることが大切です。
また、「システムアップデートに伴う不具合」や「突発的な外部環境によるトラブル」など、起こりうるリスクを想定し、事前に対処法を用意、そしてそれを社内に広く共有しておくことがエラー発生時の混乱を抑えるのに有用でしょう。
これには、具体的に「誰」が「いつ」、「どのように」対応するのか、原因ごとの対応策などを細かく策定し、手順を保存しておくことが効果的です。
また、困ったときはRPAツールのベンダーにコンタクトを取ることで具体的な復旧の方法を教えてもらえる場合が多いため、ベンダーを頼るということも大切だと言えます。
まとめ
ここまでRPAの導入・運用におけるリスクとその対策について、まとめてきました。
RPAは、前述のとおり様々なリスクを抱えていますが、その他のオンラインツールと同様にRPAのリスクをきちんと把握し、適切な対策を講じることで、その多くを回避することができます。
きちんと対策をしていれば、RPAの導入・運用におけるリスクなどよりも、メリットが上回ることは間違いないでしょう。
RPAの導入判断
RPAツールの導入・運用リスク、対策について理解したうえで、さらに詳しくRPAのメリットなどを鑑みて、導入判断をしましょう。
また、RPAの導入・運用においては、コストや業務範囲にマッチしているのかなどの点も欠かすことができません。
RPAのメリット、それぞれのRPA商品の強みや弱み、コスト、使用したい範囲に過不足なくマッチしているかなど、よく調べ、検討することをおすすめします。