高速な無線LANルーターとして人気のWiMAXですが、実は有線接続も可能です。
「WiMAXでわざわざ有線接続なんて使う必要ないのでは?」と疑問に思われるかもしれませんが、実は無線LANよりもで有線で接続した方が便利なことも多いです。
当記事では、WiMAXで有線接続をした時のメリット・デメリットから、有線接続の設定方法、更には有線接続が上手くいかない時の対処法まで解説します。
これまでWiMAXで無線LAN接続しか使ったことがないという方も、有線接続を使いこなせば自宅のネットがより快適になるので、ぜひご覧ください。
WiMAXを有線接続するメリット
WiMAXを有線接続する主なメリットは、次の2つです。
- 通信速度が安定・高速化する
- 無線LANに対応していない機器もネットに接続できる
- 通信トラブルの原因を特定しやすい
1つ1つ詳しく解説していきます。
通信速度が安定・高速化する
WiMAXを有線接続する最大のメリットは通信が安定化し、回線速度が速くなるという点です。
無線LAN接続は、どうしても周囲の障害物や他の機器の電波の干渉により、通信が繋がりにくくなったり、速度が遅くなったりすることがあります。
一方、有線接続だとそうした干渉を受けないため、無線LAN接続よりも通信が安定化し、通信速度やPING値が改善されることが多いです。
例えば、WiMAXのポケットWiFiルーター最新機種であるW06の無線LAN接続時の下り最大通信速度は867Mbpsですが、有線接続時は最大1.2Gbpsとギガ越えの速さになります。
快適なネットをする上で、安定して高速な通信ができるのは大切です。
特にテレビで長時間動画の視聴をする時やネトゲを遊ぶ時は、無線LAN接続よりも安定して速い有線接続の方が使いやすいでしょう。
無線LANに対応していない機器もWiMAXに接続できる
有線接続のメリット2つ目は、無線LAN非対応の機器でもネットに接続できる点です。
最近は、パソコンをはじめ様々な機器が無線LAN接続に対応していますが、数年前のパソコンやガジェットの中には有線接続しかできないものもあります。
そんな無線LAN非対応の古いパソコンや周辺機器でも、LANケーブルやUSBケーブルさえ用意できれば、WiMAXと有線接続してネットに接続させることができます。
ただし、無線LAN非対応の古いパソコンの場合、OSもとても古い可能性が高いので、セキュリティ面で注意が必要です。
サポートが終了している古いOSは、セキュリティ面で脆弱性が残っている可能性があるので、なるべく最新のOSにアップデートしてからネットに接続するようにしましょう。
通信トラブルの原因を特定しやすい
有線接続は、「ネットがつながらない」「頻繁に通信が切れる」または「極端に遅い」などの通信トラブルが起きた時にも役に立ちます。
無線LANの通信トラブルの原因には「ルーターの故障」「パソコンの故障」「障害物や別の機器の電波が邪魔をしている」「プロバイダでトラブルが起きている」など複数のものが考えられますが、そのうちのどれが本当の原因かを見極めるには手間がかかります。
そんな時、有線接続を使えば通信トラブルの原因を特定しやすくなります。
例えば、無線LAN接続ではネットに全く繋がらないルーターとパソコンでも、有線接続時は快適にネットに繋がるなら少なくともプロバイダ側の問題ではないとわかります。
普段はWiMAXの無線LAN接続だけ使っている方も、通信トラブルが起きた時は有線接続を使って原因を絞り込む、という使い方もできます。
WiMAXを有線接続するデメリット
ここまでWiMAXで有線接続するメリットを解説しましたが、有線接続には次の3つのデメリットもあります。
- 配線ケーブルが届く範囲でしか使えない
- 有線LAN接続には別売りのクレードルが必要
- 最新機種W06は有線LAN接続不可
WiMAXで有線接続したい人は、事前にデメリットのことも知っておきましょう。
配線ケーブルが届く範囲でしか使えない
無線LAN接続は、WiMAXルーターからそこそこ離れた場所や壁越しでも手軽にネット接続できる点が魅力です。
携帯ゲーム機やノートパソコンなら、WiFiに接続したまま部屋の中を移動したり、他の部屋へも行き来できます。
一方、有線接続は、WiMAXルーターからLANケーブルやUSBケーブルが届く範囲内にある機器しか接続できないため、無線LANほど移動の自由がありません。
また、上手く配線しないと、人の移動時にケーブルが邪魔になったり、部屋の中がケーブルだらけで見苦しくなることもあります。
クレードル付きポケットWiFiや据え置き型のホームルーターを使って普段から有線接続するつもりの方は、なるべくケーブルが生活の邪魔にならないよう、ルーターの設置場所や配線方法を考えましょう。
有線LAN接続には別売りのクレードルが必要
最近のWiMAXの機種は、本体のみでもUSBケーブルを使って有線接続することができます。
パソコンのようなUSBポートのある機器と有線接続するのであれば、本体だけで十分です。
しかし、PS4のようなLANポートしかない機器と有線接続したい場合は、クレードルと呼ばれる充電台が必要です。
※無線LAN接続するなら、本体だけで接続できます。
このクレードルは基本的に本体とは別売りで、新品価格は大体3,000円~4,000円ほどです。
WiMAXプロバイダの中にはBroad WiMAXのように端末無料キャンペーンを実施しているところもありますが、クレードルを無料でプレゼントしたり、レンタルしたりしているプロバイダはあまりありません。
UQ WiMAXやその他の多くのプロバイダでは、クレードル代は有料である場合がほとんどです。
無線LAN接続か、USB接続しかしないという場合は不要ですが、有線LAN接続する場合は通常よりも費用がかかると覚えておきましょう。
ネットオークションなどで中古品を購入するという手もありますが、その場合は、購入前に対応ルーターをチェックしましょう。
基本的に、WiMAXの各ルーターは専用クレードル以外に対応していません。
一部の機種は互換性がありますが、それ以外のケースでは専用クレードル以外に載せても全く充電できなかったり、機能の一部が使えなかったりします。
互換性があるかちゃんと確認できない場合は、契約する機種の専用クレードルを用意しましょう。
最新機種W06は有線LAN接続不可
PS4やNintendoSwitchのようなゲーム機と有線接続したいと考えている人が、WiMAXルーターを選ぶ際に注意して欲しいのが、WiMAXのポケットWiFiの最新機種W06は有線LAN接続非対応であるという点です。
W06には専用クレードルがないため、LANケーブルによる有線接続ができません。
※USBケーブルでパソコンなどのUSB対応機器と有線接続することは可能です。
W06をWX05やW05などの他機種のクレードルに乗せても、「USB-LAN変換ケーブル」や「USB Type C-TypeA変換ケーブル」で仲介してゲーム機と接続しても、通信できないのでご注意ください。
2019年12月現在、WiMAXのポケットWiFiで最速かつ最もおすすめの機種であるW06ですが、ことゲーム機との有線接続を考えている人にはおすすめできません。
PS4やNintendo Switchとの有線接続が必要な人は、有線LAN接続可能なホームルータータイプのHOMEL02か、専用クレードル付きのW05またはWX05を選びましょう。
ケーブル接続の設定方法
ここからは、WiMAXのポケットWiFiタイプのUSB接続とLANケーブル接続、そしてホームルータータイプの有線接続の設定方法を解説していきます。
ポケットWiFiタイプはW06またはWX05、ホームルーターはHOME L02を使用する場合を想定して説明しています。
ポケットWiFiの有線接続その1:USB接続
持ち運び可能なポケットWiFiタイプのWiMAXルーターでUSB接続する際は、次のものを用意しましょう。
- 必要なもの:USBケーブル
まずは、WiMAXルーターとパソコンなどの機器を繋ぐUSBケーブルを用意します。
WiMAXルーターの機種によってはUSBケーブルが付属していることもありますが、ない場合は別途購入しましょう。
家電量販店やAmazonなどのネットショップの他、最近では100均でもUSBケーブルを取り扱っているので、簡単に手に入れられます。
USBにも2.0や3.0などの規格がありますが、速度を求めるなら「USB3.0対応」と書いてある製品を選ぶのがおすすめです。
USBケーブルを用意したら、下記の手順で接続設定を行います。
- ポケットWiFi本体とPCの電源を入れて、USBケーブルで繋ぐ
- PC上にCDドライブへの操作を確認するメッセージが表示されるので「AutoRun.exeの実行」を選択
- ユーザーアカウント制御画面が出た場合は「はい」を選択
- デスクトップに「Speed WiFi Next Setting tool」のショートカットアイコンが表示されるので起動する
- ログイン画面で「ユーザー名:admin」「パスワード:IMEI番号の下5桁」を入力してログイン
これで、WiMAXのUSB接続は完了です。
「Speed WiFi Next Setting tool」のインストールとログインは初回のみ。
次からは、USBケーブルでパソコンとWiMAXルーターを繋ぐだけで、接続状態になります。
手順5の「IMEI番号」は、WiMAXルーター本体裏面の下部に記載されています。
ポケットWiFiの有線接続その2:LAN接続
続いて、WiMAXのポケットWiFiで、LANケーブルを使って有線接続する際の設定方法を解説します。
- 必要なもの:LANケーブル、専用クレードル、クレードルのACアダプタ
デメリットのところで解説した通り、LANケーブル以外に、その機種の専用クレードル(別売り)も必要になります。
更に、機種によってはクレードル用のACアダプタ(別売り)も必要になるので、こちらも用意しておきましょう。
必要なものが揃ったら、下記の手順で接続します。
- ACアダプタとクレードルを接続し、ACアダプタをコンセントに差し込む
- クレードルと機器(PC・ゲーム機など)をLANケーブルで繋ぐ
- ポケットWiFiの電源を入れ、クレードルにセットする
これでWiMAXのLANケーブルによる接続が完了しました。
クレードルに置いている間は、WiMAXの充電もしてくれます。
ホームルーターの有線接続
最後は、ホームルーターをLANケーブルで有線接続する際の設定方法です。
- 用意するもの:LANケーブル
ホームルーターの場合は、本体のみで有線LAN接続できるので、クレードルを購入する必要はありません。
LANケーブルだけ用意しましょう。
機種によっては、LANケーブルが付属しているものもあります。
WiMAXホームルーターと機器を有線LANケーブルで繋ぐ方法は、ホームルーター本体とパソコンをLANケーブルで繋ぐだけです。
HOME L02には、LANポートが2つあるので、2台の機器を同時に有線接続できます。
複数の機器と有線接続する
WiMAXのモバイルルーターのクレードルにあるLANポートは1つ、ホームルーターだとLANポートは2つだけです。
しかし、実際にはルーターにあるLANポートの数以上の機器を有線接続したい時もあるでしょう。
そんな時は、スイッチングハブでを使えば、もっとたくさんの機器とLANケーブルで接続できます。
スイッチングハブとは、1台のルーターに複数台のLANケーブルを繋げるようにする中継器のような機器で、家電量販店やネットショップで購入できます。
価格は1,500円~2,000円と、無線ルーターなどよりも比較的安い費用で入手できます。
購入の際は、「ギガビット」「Giga対応」などの表示がある高速通信に対応可能な機種を選びましょう。
スイッチングハブとWiMAXルーターを繋ぐ手順は下記の通りです。
- ホームルーター(またクレードル)とスイッチングハブの電源を入れ、お互いをLANケーブルで繋ぐ
- ネットに接続したい機器(PC、ゲーム機など)をLANケーブルでスイッチングハブと繋ぐ
たくさんの機器を有線接続したい場合は、スイッチングハブの導入も考えてみてください。
接続が上手くいかない時の対処法
WiMAXで有線接続をしたのに、上手くネットにつながらない時や速度が遅い時は次の対処法を試してみてください。
- ケーブルの接続を確認する
- パソコンを再起動する
- ケーブルを交換する
- 速度制限になっていないか確認する
ケーブルの接続を確認する
ネットに繋がらなくなった時や接続が途切れがちのとき、まずはLANケーブル・USBケーブルがきちんとWiMAXルーターと機器に差さっているかを確認しましょう。
ケーブルを中途半端に差し込んでいる状態だと、頻繁に通信が途切れたりすることがあります。
また、一部のポケットWiFiのクレードルはACアダプタが接続されていないと有線接続できないので、ACアダプタの接続も要チェックです。
見た目は差し込んでいるように見えても奥まできちん差さっていないということもありえるので、通信不良が起きた時はケーブル類を差し直してみるのがおすすめです。
パソコンを再起動する
USBやLANケーブルでパソコンと繋いだのに、パソコンが一向にWiMAXルーターを認識してくれない。
そんな時は、パソコンを再起動するとWiMAXルーターを認識してくれることがあります。
パソコンと有線接続中に通信に不具合が起きたら、パソコンの再起動をしてみましょう。
ケーブルを交換する
WiMAXルーターにも繋いでいるパソコンなどの機器にも異常がない時は、ケーブルが速度低下の原因であるかもしれません。
まず、ケーブルが内部で断線している可能性を考え、新しいものに交換してみましょう。
また、LANケーブルを購入する際は、ケーブルの種類にも注意してみてください。
なぜなら、LANケーブルにも「カテゴリー」と呼ばれる種類分けがあり、見た目は同じでもカテゴリーが違うと対応できる速度にも違いが出るためです。
LANケーブルの種類 | 最大通信速度 |
---|---|
CAT5 / カテゴリー5 | 100Mbps |
CAT5e / カテゴリー5e | 1Gbps |
CAT6 / カテゴリー6 | 1Gbps |
CAT6A・6E / カテゴリー6A・6E | 10Gbps |
CAT7 / カテゴリー7 | 10Gbps |
基本的にカテゴリーの数字が上がるほど、対応可能な速度と価格も上がっていきます。
カテゴリー5は、最大通信速度が100Mbpsまでしか出ないため、WiMAXの接続に使うと速度低下の原因になります。
最大通信速度1Gbps近いWiMAXの最新機種を使うなら、カテゴリー5e以上のLANケーブルを用意しましょう。
WiMAXで速度制限になっていないか確認する
機器に問題がない場合、気づかないうちに速度制限されている可能性も考えられます。
WiMAXで速度制限を課される原因は次の3つがあります。
- 月間通信量が7GBを超える(7GBプランのみ)
- 通信量が3日間で10GBを超える
- ハイスピードプラスエリアモード(auの4G LTE回線利用)中の通信量が7GBを超える
上記の3つのうち、下の2つは月間通信量無制限プランでも条件に当てはまれば速度低下が適用されます。
速度が遅いと感じたら、本体の設定から当月の通信量を確認してみましょう。
パソコンに「Speed WiFi Next Settingtool」をインストールしていたり、iPhone・スマホにメーカーの専用アプリをインストールしている場合は、そちらからもチェックできます。
有線接続を活用してWiMAXで更なる高速通信を楽しもう
WiMAXで有線接続にすれば、無線LAN接続時よりも更に安定・高速化してネットが快適になります。
設定方法は簡単で、必要なものを用意さえすれば誰でも簡単に繋げられます。
これまでWiMAXは無線LAN接続だけで使っていたという方も、自宅でネトゲや動画をたっぷり楽しむ時は、ぜひ有線接続にしてみてください。